インドネシアで拡張計画が進められるチレボン石炭火力発電所2号機の建設をめぐり、工事を請け負う韓国・現代建設の元幹部と元チレボン県知事がこのほど贈収賄の疑いで容疑者認定された。気候変動の最大の要因の一つとして国際的に石炭火力発電への厳しい見方が強まるなか、現地で問題に取り組む環境NGOらが5日都内で会見し、計画の見直しを訴えた。同事業には日本から国際協力銀行(JBIC)のほか、みずほ、三井住友、三菱UFJの民間三行も融資を行っている。(オルタナ編集部=堀理雄)
■生計奪われる地域住民
容疑は、2017年6月から2018年10月にかけて、現代建設元幹部から元チレボン県知事へ、偽装契約を通じて計65億ルピア(約5千万円)が渡った疑いだ。インドネシアの独立機関であり捜査と起訴の権限を持つ汚職撲滅委員会が、今年10月~11月にかけ両者をマネーロンダリングの容疑者として発表。現在起訴に向けた捜査を進めている。
チレボン石炭火力発電所は、インドネシア西ジャワ州チレボン県に位置し、66万キロワット規模の1号機は2012年から運転を開始。100万キロワットの2号機は2016年に着工し、2022年の運転開始に向け現在建設が進められている。
2号機の事業実施者であるチレボン・エナジー・プラサラナ社(CEPR)は、丸紅、Samtan、IMECOなど6社が出資した現地法人。事業への融資機関は、国際協力銀行(JBIC、7.31億ドル)、韓国輸出入銀行(KEXIM、4.2億ドル)のほか、民間銀行として三菱UFJ、みずほ、三井住友、INGが名を連ね、4行で計5.9億ドルの融資を行っている。
2号機の建設をめぐっては、2016年から地域住民の反対運動と訴訟が続けられてきた。この地域で漁業を営む小規模漁民が、漁獲量の減少など生計手段への悪影響に苦しむほか、粉塵などの公害被害や環境アセスメントの不備、住民への人権侵害などが訴えられている。
2017年4月にはバンドン地裁で住民の訴えが認められ、2号機の環境許認可を取り消す判決が出されたものの、同年政府当局は別途新たに許認可を発行。住民側も新たな訴訟を起こすが、最高裁で住民側の訴えが斥けられ、再審請求中の現在建設作業が6割程度まで進められている状況だ。
■「日本の銀行は融資止めて」