保険会社に石炭事業への保険引き受け停止や投融資撤退を求める環境NGOの国際ネットワーク「Unfriend Coalキャンペーン」はこのほど、世界の大手30社の脱石炭や気候変動への取り組みを評価するランキングを発表した。石炭火力発電所など石炭事業からの撤退方針を掲げる欧州や米豪の保険会社が上位となる一方、日本の東京海上、MS&AD、SOMPOの3社はいずれも、保険引き受け方針と投資方針を評価する2つのランキングで10点中0点の最下位だった。(オルタナ編集部=堀理雄)
■日本の大手損保は「方針なし」
石炭は燃やした時のCO2排出量が化石燃料の中で最も多く、気候変動の最大の人為的要因とも指摘され使用削減が求められている。しかし世界では今年7月時点で2459の石炭発電所が操業し、980の新規建設が進行もしくは計画中だ(ランキングのレポートより)。
ランキングでは、石炭に関連する発電所や炭鉱といったあらゆるインフラ、またタールサンド(油砂)に関連する事業やパイプライン掘削などに関する、新規および既存の事業や会社に対する保険の引き受け停止の方針、また投資撤退の方針の内容を評価した。
2つのランキングでは、スイス再保険、チューリッヒ(スイス)、アクサ(フランス)、AXISキャピタル(米国)、QBE(豪州)、アリアンツ(ドイツ)などの保険会社の方針が評価され上位となる一方、日本の大手損害保険3社は「(石炭事業の保険引き受け停止や投資撤退に関する)いかなる方針も採用していない」として評価ゼロだった。
同キャンペーンのNGO13団体に日本から参加する「環境・持続社会」研究センター(JACSES)の田辺有輝氏は、「日本の大手損保に脱石炭に踏み出せない理由を聞くと、日本政府がいまだに新規石炭火力発電所の建設を手放していないことがあげられる。しかし政府が石炭推進を掲げている米国や豪州の保険会社の中にも、脱石炭に踏み切る会社が出てきている」と指摘する。
■世界で勢いを増す脱石炭の流れ