この連載の(上)では、生分解プラスチックについて取り上げた。このほか、「バイオプラスチック」と称した容器類も最近では多く出回るようになった。「生分解性」「バイオ」という名称が独り歩きして、消費者を戸惑わせる懸念もでてきた。(オルタナ編集委員・栗岡 理子)
バイオプラスチックには誤解が多い。ちなみにバイオプラスチックとは、生分解性プラスチックと、植物など生物資源で作られるバイオマスプラスチックの総称だ(環境省資料)。
https://www.env.go.jp/press/files/jp/111747.pdf
誤解の多いバイオプラ、生分解しないバイオマスプラも多い
生分解性プラスチックは、生分解性であるという機能を示すが、その原料がバイオマス(生物資源)でなくとも構わない。生分解性のプラスチックであれば、原料が植物であれ石油であれ、バイオプラスチックと呼ばれる。
植物で作られていれば、すべて生分解性であると誤解する人は多いが、そうとは限らない。むしろ、バイオマスプラスチックであっても生分解性でないものの方が多いくらいだ。
さらに言えば、日本バイオプラスチック協会のバイオマスプラスチックの認定基準も話を複雑にしている。バイオマスプラスチック度が25%以上となっているのだ。
つまり、バイオマスプラスチックの含有量が25%以上であれば、他の部分が石油由来のプラスチックであっても、その製品はバイオマスプラスチックと名乗ることができる。これは無理があると言わざるを得ない。
バイオマスプラスチックを地球温暖化対策の観点から普及させるのであれば、認定基準は25%ではなく、少なくとも5-7割程度に設定する必要があるのではないか。
SDGsの「饑餓をゼロにする」という視点からは、食料と競合しないなどの基準も加える必要があるだろう。プラスチック生産のために農地をバイオマス栽培に切り替えると、食料が不足する。
汎用プラスチックのリサイクルを阻害する可能性