新たなジャーナリズムのあり方を提起しようとジャーナリズム支援市民基金がこのほど、「ジャーナリズムX(エックス)アワード」の公募を始めた。調査報道や書籍などのコンテンツだけでなく、情報交換や交流を活性化する媒体やプラットフォームも評価対象とし、3月17日まで募集。大賞には賞金100万円が贈られる。運営や審査はNGO/NPO関係者らが中心となって担い、既存のジャーナリズムの枠にとらわれない試みを支援する考えだ。(オルタナ編集部=堀理雄)
28日に都内で行われたキックオフイベントで、同基金代表幹事でアクト・ビヨンド・トラスト代表理事の星川淳氏はアワードの狙いについて「運営や審査をジャーナリストが担うのではなく、NGO/NPOや市民社会の幅広い経験を持ち寄ることで、柔軟にジャーナリズムの未来を探りたい」と述べた。
SNSなどメディア環境も大きく変化する時代のなか、市民に求められる柔軟な発想で、社会にインパクトを与えるようなコンテンツやプラットフォームを募集する考えだ。
応募対象は自薦・他薦やプロ・アマ、年齢や国籍などを問わず、学生を含む個人や非営利組織・民間企業ほか、すべての人と団体が対象。ただし政府機関・関連組織は除く。
2019年中に発表された成果物や取り組みが対象。具体的な受賞想定としては、例えば隠された問題を明るみに出す調査報道や、社会問題を市民が考え自ら行動する意識を育てるアプリやデータベース、各地の活動をつなぐプラットフォームなどがあげられるという。
キックオフイベントでは、日本の新たなジャーナリズム活動の事例として、市民の寄付に基づき独立した視点から調査報道を行うワセダクロニクル、映像を通じマスメディアからこぼれ落ちる市民の声や情報を発信するOur Planet-TV、「関係性のデザイン」を軸にウェブマガジンやつながりを通じた多様な事業を展開するグリーンズの取り組みが報告された。
星川氏は「政府など統治機構との癒着といったジャーナリズムの危機が指摘されている。そうしたなかでNGO/NPOなど市民運動の側から、権力を監視し、事実や実態を広く社会に伝え解決するという同じ思いを持つものとして、ジャーナリズムを応援したい」と力を込めた。
3月17日の応募締め切り後、運営幹事による一次審査、外部選考委員を交えた二次審査を経て6月に受賞者を発表し、7月に授賞式・シンポジウムを行う予定だ。