「新国立競技場の木材は本当に合法か」、映画で迫る

新国立競技場は、東京五輪を最優先したデザイン、膨大な維持費など、負の遺産になることが方々で指摘されている。競技場の建設過程では、マレーシアとインドネシア産の合板が土台のコンクリート型枠用として12万枚以上使用され(出典:東京2020組織委員会)、国内外のNGOは森林破壊につながっているとして批判している。ボルネオ島をはじめ熱帯林では何が起きているのか。森林伐採の実態に迫った映画「ブルーノ・マンサー 熱帯雨林の声」がスイスで公開され、話題を呼んでいる。(チューリヒ=岩澤里美)

■スイスのNGOも東京五輪を批判

映画「ブルーノ・マンサー 熱帯雨林の声」のシーン。マレーシアではいまもマンサー氏は疎ましい存在のため、撮影はインドネシア領で行われた(C)Tomas Wüthrich

新国立競技場を含めた東京五輪の施設建設にあたり、熱帯林からの違法木材が使われているというNGOの指摘は、マスコミ大手も取り上げてきた。

日本スポーツ振興センターは2017年4月の時点で、それらは森林認証を取得した製品で東京五輪組織委員会の基準に適合した木材だと公言している。

一方で、国際環境NGOレインフォレスト・アクションネットワークら10数団体は、熱帯林破壊及び人権侵害に関しての説明責任は果たされていないと、12月20日に共同声明を発表。東京五輪はSDGs(持続可能な開発目標)を推進するのではなく、逆にSDGsの達成(特に「2020年までに森林破壊を阻止し、劣化した森林を回復する」の目標)を困難にしていると意見した。

この共同声明には、スイスのブルーノ・マンサー基金も賛同団体として名を連ねている。同基金は、スイス人のブルーノ・マンサー氏が1991年に設立した。氏は、ボルネオ島北部のマレーシア・サラワク州の熱帯林で先住民のプナン族とともに6年間暮らした。

その後スイスに戻り、同基金を通して熱帯林とプナン族の人権の保護に尽力し、2000年にプナン族の元へ戻った際にスイスの友人へ手紙を送った後で消息を絶った。生きていれば、現在65歳だ。

同基金は、サラワク州の熱帯林救済と先住民たち全体(とりわけプナン族)の人権尊重のために、活動を続けている。個人、起業、基金から資金援助を受け、会員数は4000人以上に上る。

■熱帯林と人権保護を訴え続けたマンサー氏

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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