靴下専門店のタビオ(大阪市)と近畿大学が、化学肥料や農薬を全く使用しない農法による綿花栽培の共同研究を始めた。タビオは2009年から綿花の自然栽培を始めたが、2018年には綿花の収量が例年の約80%までに減少したため、近畿大学の知見とノウハウを借りることにした。今年秋には、同大学の学生団体と組んで、オリジナル商品の開発も計画している。(オルタナ編集部=多田野 豪)
同社の越智直正会長は、収量が減った原因と解決策を考えるため、近畿大学社会連携推進センターの田中 尚道教授に連携を依頼した。同社の平野 満義広報担当は、「今回の連携に当たり、当初は台風災害や天候不順などの自然環境、連作障害などが原因だと想定した」と話す。
近畿大学の長柄善博・広報担当によると、田中教授は2011年に東日本大震災で被災した東北での、土壌改善を目的とした「東北コットンプロジェクト」のアドバイザーを務めた人物。同プロジェクトの発起人の一社にタビオもいたので、同社とのつながりは深かったと話す。
栽培試験では休耕田を有効活用し、有機肥料の種類、量、マルチの種類により試験区を6区画設け、試験区別の収穫量を調査した。
「昨年11月から収穫を開始して、現在は繊維を試作している段階。2月末に研究結果が出る予定だ」と長柄広報担当は話す。
タビオ社と組む学生団体「Kindai SDGs Association」は、SDGs(持続可能な開発目標)に関連した様々なプロジェクトに取り組んでいる。
同団体に所属する8人の学生は、田植えや収穫などの農作業支援に加えて、同社と共同で、近畿大学限定オリジナル商品の開発も計画している。