「環境・持続社会」研究センター(JACSES)は19日、2018年度に日本で起きた規模の台風や水害などの自然災害が今後2年連続で続いた場合、損害保険会社の準備金が枯渇するとの調査結果を発表した。大手損害保険3グループが、自然災害に備えて積み立てている「異常危険準備金」の近年の減少度合いから試算した。報告書は、気候変動のリスクを踏まえた損保各社の情報開示や資産運用、保険料の引き上げなどが必要だと指摘している。(オルタナ編集部=堀理雄)
報告書は、東京海上ホールディングス、MS&ADホールディングス、SOMPOホールディングスの3グループについて、大型台風被害など単年度の収入保険料では対応できない異常災害による保険金支払いのための積立金である「異常危険準備金」の推移を調べた。
報告書によれば、水害による家屋損壊も補償対象となる火災保険の準備金合計額の規模は2011年3月期以降、おおむね7000~8000億円で推移していた。しかし2019年3月期には5383億円、2020年3月期には3850億円(予想)となり、約2年間で半減することになる(表参照)。
さらに過去2年間のトレンドをもとに、今後どの程度の自然災害による正味発生保険金で異常危険準備金がゼロになるかを試算したところ、2018年度に起きた規模と同程度の自然災害が2年連続で起きた場合、計算上準備金が枯渇することが分かった。
■求められる損保各社の気候変動対策