イノベーションの「種」をつぶさない

■オルタナ本誌59号 社会イノベーションとお金の新しい関係から

この十数年、NPOなどのソーシャルセクターに関わるようになって、日本で進化させる必要があると感じているひとつのパラダイムがある。それは、「NPOのやることに100パーセントの無謬性(絶対に間違いを犯さない)を課してはいけない」ということである。

より正確に言うとすれば、「行政が実際にやっていることよりも、より良い状態を実現しているNPOについて批判することはやめよう」と言い換えてもいい。

例えば大規模な自然災害のときに、行政が用意する避難所への食糧などの配給はほとんど機能しないことがある。東日本大震災でも、1週間も一日おにぎり何個かしか食べられない避難所が大量にあった。

そこで、NPOなどが自らトラックを調達して物資を避難所に届けると、「公平じゃない」といった批判をする人が出てくる。

あるいは、日本では動物愛護センターに持ち込まれた犬猫は1週間くらいで殺処分される。その殺処分される犬を何とか救おうと多くのボランティア団体やNPOの人たちが保護・譲渡活動に取り組んでいる。

しかし、その活動の過程で、少しでも犬猫が死んだりすると「虐待だ」として批判したりする人が出る。殺処分以上の虐待はないように思えるが、それを進める行政は批判しなくても、保護活動するNPOなどはちょっとでもうまくいかないと批判されたりする。

*この続きは雑誌「オルタナ」59号(第一特集「動物福祉(アニマルウェルフェア)のリスクと機会」、12月17日発売)に掲載しています。

uomasa

鵜尾 雅隆(日本ファンドレイジング協会代表理事)

連載:社会イノベーションとお金の新しい関係 日本ファンドレイジング協会代表理事。国際協力機構、外務省、米国NPOを経て、ファンドレイジング戦略コンサルティング会社ファンドレックス創業。寄付、社会的投資の進む社会を目指して日本ファンドレイジング協会を創設。著書に『ファンドレイジングが社会を変える』など。

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キーワード: #NPO

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