世界第2位の食品飲料会社である米ペプシコは2月25日までに、パーム油の調達方針を改定した。労働者の人権保障や森林破壊禁止などの方針を、直接のサプライヤー(供給業者)だけでなく、その先のサプライチェーン全体および企業が属するグループレベルまで拡大して適用することを決めた。米環境NGOのレインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)は25日、「先駆的で幅広いパーム油業界に変化を促すだろう」とコメントした。(オルタナ編集部=堀理雄)
パーム油は世界で最も広く利用されている食用油で、「植物油脂」としてマーガリンやスナック菓子、また石けんの原料や燃料としても利用されている。インドネシアが最大の生産国だが、近年プランテーションの乱開発による森林や泥炭地の破壊、労働者の人権侵害などが大きな問題となってきた。
ペプシコ社は調達方針のなかで、地域コミュニティの生業に欠かせないなど保護価値の高い森林(HCV)をはじめ、多量の炭素を貯蔵する森林(HCS)や泥炭地の新規開発や伐採を行わないことを規定。また小規模農家の支援や強制労働・児童労働の禁止、臨時・移民労働者の権利や結社の自由の保障などの人権条項を定めている。
こうした方針をサプライチェーン全体やグループレベルまで拡大するという今回の改定の背景には、RANによる同社への6年にわたる方針改善の働きかけや、合弁相手であるインドネシアのグループ傘下企業による労働者の人権侵害と、それに対する市民団体の告発があった。
■「搾取禁止の要件に従うことを期待」