■新型コロナに揺れる世界(6):オランダ編
国立公衆衛生および環境研究所(RIVM)によると、オランダで新型コロナウイルスによる感染者は6412人(3月25日現在)。検査済みの感染者数ではないため、実際はこの倍といわれている。オランダ東南部の北ブラバント州の感染者数が突出しているのも特徴で、これは流行約2週間前に、伝統的な謝肉祭が盛大に祝われ感染が蔓延したとみられる。(アムステルダム=稲葉かおる)
■「孤独を生むウイルス」
先週金曜日3月20日の午後7時、オランダ国王・ウィレム・アレキサンダーがテレビに出演、国民にむけて言葉を述べた。「降ってわいたようなこの困難な時期を、一致団結して乗り越えよう」と訴えたと同時に、全国の医療従事者、各種公共交通機関で働く人びと、そして一般労働者たちに心からの感謝を伝えたのである。
それだけではない。彼は、保健所や国立公衆衛生および環境研究所(RIVM)が発信する情報に注意するとともに、コロナ予防に関する各種アドバイスに必ず従うよう、国民に熱心に語りかけた。この国王のメッセージに心を打たれた国民は多かったようだ。
彼は、この新型コロナウイルスを、「孤独(を生む)ウイルス」と呼んだ。というのは、高齢者や疾患を持つ人びとは今、予防のためとはいえ、家族や友人・知人との接触を制限されている。そのため、精神的に孤独感を増大させるウイルスでもある、と称したわけだ。
この発言は、老人ホームのお年寄りや持病を持つ人たちの孤独感を慮るきっかけを国民たちにもたらし、国民の感動を呼ぶことになった。
危機感がなかった?オランダ