新型コロナでDV増加、英国の薬局や鉄道も支援

新型コロナ感染拡大によるロックダウン開始から7週間が経つ英国では、家庭内暴力(DV)が増え、社会問題化している。外出制限のため暴力的なパートナーと一緒に家にいる時間が長くなるからだ。大手薬局チェーンのブーツは全国の支店で、DV駆け込みスペースの提供を始めた。シェルター避難のために、無料で鉄道に乗れる制度も広がっている。(ロンドン=冨久岡ナヲ)

大手薬局チェーンのブーツはDV駆け込みスペースを提供している

英国政府は、家族単位で自宅隔離し無用な外出を極力減らすことで感染拡大を防ごうとしている。外出できるのは食料や薬など生活必需品の購入と、1日一度、1時間以内の運動や散歩だけだ。

家族全員で家に閉じこもる時間が長くなったことで、家庭内での暴力(DV) や虐待(DA)が増加している。警察の犯罪防止ホットラインに寄せられる電話は感染拡大前に比べ50%増、助けを求める携帯用アプリからのSOSは47%増えている。英国最大のDV•DA被害者支援団体である「リフュージ」のヘルプラインには平常時と比べ7倍もの数の相談電話を受ける日もあった。

被害者の多くは弱い立場にある女性と子どもだが、加害者は男性だけではない。3世代同居など大家族が多いエスニック・マイノリティの世帯では、姑や義姉妹などによるいわゆる「シンデレラ虐待」も増えている。

助けを求めたくてもインターネットへのアクセスが閉ざされ、携帯電話の通話も監視されている被害者の数は誰にも把握できないため、安全への懸念は高まるばかりだ。

全国に2400あまりの店舗を有する大手薬局チェーンのブーツは、5月1日から全店舗においてDV駆け込みスペースを提供し始めた。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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