■ポスト・コロナの観光事業考察
中国に始まったとされる新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大により、観光業界は世界中で破滅的な被害を被っております。各国のロックダウンもそうですが、長い自粛生活と戦った日本国内でも、やっと関西地区では「緊急事態制限一部解除」の動きが見え、不安だらけの毎日に希望が差し込んできました。
とはいえ、宿泊を含む観光業界に身を置く筆者自身も含め、壊滅的に激減した数字には気が遠くなるほどです。
日本政府観光局の発表によれば、2020年3月の訪日外国人数はわずか19万人となり、前年比93%減といいます。航空便は減便し、それどころか、今尚、感染者数が増え続ける国々も多くあり、自由に世界を移動することが不可能な現状です。
国際航空運送協会(IATA)の調査では、新型コロナウイルス蔓延の収束後、「ニューノーマル」と言われる今後のライフスタイルにおいて、旅行回復の見通しは、「世界の旅行者の40%が6カ月以上は旅行を控える」と回答。また、「69%は経済状態が安定するまで旅行の再開は厳しい」と発表しているのです。
日本人にも馴染みの深い「タイ航空」は経営破綻し、現地時間5月19日、破産法に基づく会社更生手続きを始めています。
急な減便を強いられた運輸・航空業界(4月28日発表、英国航空では社員12000人の解雇)をはじめ、キャンセルにより予約が激減した旅行業界、さらに兼ねてから日本の「安売りツアー旅行」を問題視してきた世界市場の価格競争に対するわだかまりも残っているようです。
さらに言えば、飲食業も含め、破産や倒産という例も、今後、事態が長引けば増加も予想され、世界的な恐慌、又は各国の経済的クラッシュも起きかねない現状です。
コロナウイルス蔓延により、こうした諸問題が一気に噴出した今、日本国内の観光業においても、しばらくは、インバウンド景気を観光の柱にすることは考え難いと言わざるを得ません。
■日本国内にシフトした市場回復を目指す