京都府舞鶴市で建設計画が進むパーム油発電所をめぐり、計画が白紙となる可能性が高まっている。同市がこのほど開いた公開協議での説明によれば、4月に出資者だったカナダの再生可能エネルギー投資会社アンプ社が事業から撤退した後、現段階で新たな事業主体は見つかっておらず、6月中に見つからなければ同社は来月にも事業主体の解散手続きに入るという。市民団体らは建設事業者の日立造船への投資撤退も呼び掛けている。(堀理雄)
同発電所の計画は、舞鶴市喜多地区に国内最大66メガワットのパーム油バイオマス発電所を新設する内容で、2022年の運転開始を予定。アンプ社が出資する「舞鶴グリーン・イニシアティブス合同会社(MGI)」が事業主体となり、その委託を受けた日立造船が建設・運営を担う枠組みだった。
しかし計画をめぐっては、騒音・悪臭問題や安全性、熱帯林の破壊などの懸念が住民から相次ぎ、アンケート調査ではほとんどの住民が反対の意向を示していた。そうしたなかでアンプ社は4月22日、事業からの撤退を表明した。
6月13日に行われた舞鶴市と日立造船、地域住民らの三者による公開協議では、アンプ社にかわる事業主体が6月末までに現れなければ、同社はMGIの解散手続きに入る意向を示していることがわかった。事業主体であるMGIが解散すれば、計画そのものが白紙となる見通しだ。
■日立造船の株主に投資撤退を要請