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国際決済銀行とフランス銀行は2020年1月に共同報告書を発表した。その題名となった「グリーンスワン」という概念が注目されている。
これは元ファンド運用者のタレブが2007年に著した『ブラックスワン』に着想を得た表現。このブラックスワンとは文字通り「黒い白鳥」のことで、英語では比喩的に「稀な物」も意味する。
タレブは著書において、①確率的な発生予想が難しいが②起こると大きな影響があり③事後でないと説明困難な社会的事象をブラックスワンと定義した。
なお直近では「新型コロナ」がよく具体例に挙げられるが、タレブは「予見可能だった現象であり例にはあたらない」と述べている。
いっぽうグリーンスワンとは「気候変動の予防措置や変動自体がもたらしうる金融危機」を意味する。ただしブラックスワンとは異なり①時期は不明ながら発生可能性が極めて高く②影響は金融以外にも及び③その連鎖反応が高次に複雑化するという特徴がある。
報告書はこれを踏まえ中央銀行の果たすべき役割と限界にも言及した。また報告に前後して、各国の中央銀行の間では「気候変動に関するストレステスト」を実施する動きも広まった。