粉砕した岩石を農地にまくだけで、大気中のCO2を大量に吸収できるという研究結果を英シェフィールド大学の研究チームが学術誌「ネイチャー」7月号に発表した。日本のCO2年間排出量の2倍近い、最大20億トンを吸収できるといい、温暖化対策への新たな技術として注目される。(武田和代)
英ガーディアンなど複数の海外メディアによると、この技術は「岩石風化促進法(ERW)」と呼ぶ。火山岩、特にカルシウムとマグネシウムを多く含む玄武岩を細かく粉砕し農地にまき、大気中のCO2と化学反応を起こさせ、「石化」させて閉じ込めるものだ。
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CO2排出量の最も多い中国とインド、米国にとって、この技術はCO2回収に大きく寄与する可能性があり、価格面でもCCS(CO2の回収・貯留技術)など他の方法と比べても遜色ない。広大な農地を保有し、温暖な気候にあるインドネシアやブラジルでも、この技術が有効であるといい、実用化に向けた大規模実験が求められている。
同大学では、この技術は鉱山開発で産出される「ケイ酸塩岩」を有効活用できるとして、各国政府に保有量を調査することを求めている。また、鉄鋼業や建設・解体現場で副産物として産出されるカルシウムが豊富な「ケイ酸化合物」も、ERWに使えるという。
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