FoE Japanをはじめ、世界15カ国 35の環境保護団体および学識者など19人は8月31日、エイチ・アイ・エス(HIS)の主要株主37社に対して、HISにパーム油発電事業から撤退することを求める書簡を送付した。HISは宮城県角田市でパーム油を燃料としたバイオマス発電所を建設中だが、環境NGOなどは「熱帯林を破壊し、気候変動を加速させる」として反対している。(オルタナ副編集長=吉田広子)
パーム油は世界で最も使用料の多い植物油で、アブラヤシの実から生産される。
パーム油は主に食品用に使われてきたが、需要の増大に伴い、アブラヤシ・プランテーションが急速に拡大し、インドネシアやマレーシアにおける熱帯林の破壊の主要な要因のひとつになっている。インドネシアとマレーシアでは過去 20年間に約 350万haもの熱帯林がアブラヤシ・プランテーションに転換された。
パーム油を発電のために利用することで、需要がさらに急増し、プランテーションの拡大による森林開発圧力が強まることになる。
そうした危機感から、日本に加え、英国、米国、オランダ、ロシア、ドイツ、ボスニアヘルツェゴビナ、オーストラリア、スリランカ、タンザニア、ベルギー、ボリビア、モザンビーク、スウェーデン、チェコの環境保護団体が連名で要請書を送付した。
要請書を取りまとめた国際環境NGO FoE Japanは「パーム油の需要が拡大すれば、アブラヤシ農地を造成するための熱帯林や泥炭地の開発により、膨大な量のCO2が放出される。森林が蓄えている膨大な炭素の排出を加味すれば、パーム油発電は、石炭火力発電よりはるかに多くのCO2が発生することになる。ESG投資の観点から、株主には同社に中止を働きかけてほしい」と訴えた。