■世界のソーシャルビジネス 北米編 米国
米国カリフォルニア州サンタモニカを拠点とする「Tala(タラ)」社は、注目株のフィンテック企業だ。女性社会事業家のシヴァニ・シロヤ氏が率いる同社は、ケニアやフィリピンなどの新興市場における少額ローンの即時決済を可能にしたアプリ「タラ」を開発。40万人以上がダウンロードし、タラ社による完全融資を通じて、現在12万人が利用している。(寺町 幸枝)
シヴァニ・シロヤ氏は投資銀行家としてキャリアを積み、興味を持ったマイクロファイナンスを学ぶ中で、その欠点や不完全性に気付いた。これが、タラというアプリを考えたきっかけだ。
大学院卒業後、国連人口基金のアナリストとして、アフリカ諸国で4500人を超える人々に、実際にマイクロファイナンスを通じて借りた資金の流れを聞いて歩いた。
そうした現場経験があるからこそ、現アプリを立ち上げてわずか2年で、アショカ、TEDをはじめとした社会事業への深い関心を持つ組織から評価されてきたと言えるだろう。
タラ社は、「信用偏差値(クレジットスコア)」という銀行やカード会社がローンを貸し付ける際の目安として使う値を、現金のみで生活している25億人の人々に対して数値化する仕組みを構築している。
ローンをはじめ、生活を豊かにするための金融商品へのアクセスを可能にしたこのアプリは、保険をはじめ、借金だけではない相対的な金融商品の提案も可能にしている。
従来の金融機関と共存
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