イケア・ジャパン(千葉県船橋市)は10月1日から、植物由来の原料を使った代替肉のミートボール「プラントボール」を日本国内でも発売した。イケアは「ファスト・ファニチャー」に分類される家具チェーンだが、なぜ代替肉に取り組むのだろうか。(オルタナ編集部・松田ゆきの)
イケア・ジャパンは10月1日から全国の10店舗で、代替肉の「プラントボール」の販売を始めた。同社はこれまでもプラントベース(植物由来)のカツカレー、アイスクリームを販売してきた。2022年までに、同社の食品事業の全商品のうち20%を植物由来食品にすることを目標に掲げており、すでにイケア原宿店は店舗内で取り扱う30―40%の食品が植物由来だという。
イケアレストラン&カフェでのプラントボールの販売価格は、同社のミートボールより100円安い499円(8個)で、同様に家庭用の冷凍品もミートボールより安い699円(500グラム)だ。冷凍のプラントボールは家庭でもサステナブルな食事を楽しむ選択肢になる。
そもそも、なぜイケアは代替肉に取り組むのだろうか。イケアのグローバル売上高390億6500万ユーロ(4兆8284 億円)のうち、食品部門は約5%という。購買頻度が低い家具だけではなく、日用雑貨や食品の品ぞろえを増やすことで、来店頻度を高めてもらうことが目的とみられる。
そのイケア発祥の地、スウェーデンでは人口の10%がベジタリアンかビーガンで、15―25歳の「Z世代」は30%がベジタリアンかビーガンだという。スウェーデン人の3分の1がフレキシタリアン※やセミベジタリアンであり、地球環境や動物にやさしい選択を心がける人が多い。
つまりイケアはスウェーデン企業として地元社会からの期待や要請が強い。ファストファッションというビジネスモデル自体も、大量消費を招きかねないとして批判がおきがちだ。そこで、家具の製造・流通だけでなく、食品にも「サステナブルな選択肢」を用意したと見て良いだろう。
日本法人の担当者カントリーフードマネージャーの佐川季由さんは「日本にはフレキシタリアンなどのニーズがまだ少ないが、ニーズの有無にかかわらず、食を通じてもイケアが目指す社会を実現したい。食を通じて気候変動の問題への取り組みをリードするうえで、消費者のニーズに応えることもビジネスとして重要だが、世の中に変化を作っていくということが必要だ」と述べた。
一方で、イケア・ジャパンが直面する課題も残る。