仏オーガニック大手「ビオセボン」が破たんしたのは、経営形態と資金繰りに問題があっただけではなかった。同社の実質的な実力者の責任が大きいことが明らかになりつつある。この人物の過去を知れば知るほど、ビオセボンを買収することの難しさが見えてくる。(在パリ編集委員・羽生のり子)
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欠品がちになっていた売り場
フランスの商業界雑誌「LSA」は2020年3月、ビオセボンが深刻な財政難に陥っており、店舗の賃料や仕入れ先への支払いが滞っている可能性があると報道した。本部が予算を削減し、労働条件も悪化している、売り場が欠品がちになることもあるという。
日本と同様、フランスにも従業員が匿名で企業の雇用を評価するサイトがある。ここでビオセボンの労働状況を調べると、160人ほどが投稿していた。総合点は、あるサイトで5点満点の2.2、別のサイトで2.6だった。
ビオセボンの長所は「スタッフが若い」「閉店後に売れ残り品がもらえる」など。欠点は「長時間労働」「本部の要求が多すぎる」「安い給料でこき使われる」「マネージメントが悪い」「オーガニックの背景にある倫理が欠如」などだった。
「若いスタッフがいる職場ならよそを探した方がいい」と勧める人もいた。その中で「本部は40年前の商売感覚でやっている」という発言が気になった。なぜ20年前、30年前ではなく40年前なのか。
ビオセボン創業者が運営の実権握る
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