ビオセボンでは役職に就かず
ブリソー氏はその後どうなったのか。2020年時点で、パリにある化粧品卸会社など4社の代表として登録されている。ビオセボンでは役職についていないようだ。表面に出ないのはナザの件が再び話題に上り、ビオセボンの事業展開や銀行からの融資に影響することを懸念したからかもしれない。
ブリソー氏が1980年代にナザを経営していたことを知ると、元社員が「ビオセボンの経営陣は40年前の商売感覚」と言った意味が分かる。
ビオセボンでは人事もブリソー氏が行なっていた。ビジネススクールの最高峰「HEC経営大学院」のサイトにリクルート情報を出し、それを見て応募した卒業生を雇った。この人は1年半複数の店のマネージャーを務めた。
イタリアへの進出時にも、同様にHEC出身の女性を雇った。80年代にフランス経済界で話題になったナザを巡る騒動は、20代の若者にとっては自分が生まれる前の遠い昔の話だ。あえて若者を多く採用したことにも意味があったのかもしれない。しかし、「歴史は繰り返す」ことは避けられなかった。
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