【農薬に暴露された蜂群の見かけの寿命のマウイ島と志賀町の比較】[7]
新たに提案した見かけの寿命を推定するための数学モデルを用いて、マウイ島での長期野外実験で得られた成蜂数と蜂児数の実験データから見かけの寿命を計算した。
マウイ島での蜂群の見かけの寿命はバラツキが大きいものの、一年を通して、ほぼ一定である。これは、気候の変化の小さいことと年中開花しており、いつでも食料を調達でき、女王蜂の産卵も一年を通して大きく変化しないことによると考えられる。
中西部の日本(志賀町)と比べてみると、日本では見かけの寿命のバラツキは少なく越冬時には6~10倍近くも長くなるのに対し、マウイ島ではバラツキは大きいものの、一年を通してほぼ一定である。一方、マウイ島での見かけの寿命のバラツキを詳細に解析して、無農薬群や有機リン投与群においては蜂群の生理現象で説明できると考察している。
たとえば、女王が居なくなる蜂群では見かけの寿命が長くなっている。あるいは、なんらかの理由で女王の産卵が少なくなっている場合でも寿命が長くなっている。一方、ネオニコ投与群においては、このような説明ができず、何か異常が生じていることが示唆される。
【農薬含有花粉ペーストを摂取するダニ被害蜂群の見かけの寿命】未発表のため内容非公開
花粉を介して農薬(DF)を摂取した蜂群の見かけの寿命の季節変化の特異性は、ダニの被害のない蜂群でもダニの被害を受けた蜂群でも、あまり変わらない。
[7] Toshiro Yamada, Kazuko Yamada: PeerJ, 8:e9505 (2020).
https://peerj.com/articles/9505/
「ネオニコ問題は決して解決していない」⑦へ続く