日本の「カーボン実質ゼロ」宣言、世界から周回遅れ

菅義偉首相は10月26日、「2050年までにカーボン実質ゼロ」を宣言した。ただ、この方針自体は2015年の気候変動枠組条約締約国会議「パリ協定」で合意したもの。同条約事務局によると、「2050年までにカーボン実質ゼロ」を宣言した国はすでに120カ国に上り、日本は世界の潮流から大幅に遅れを取っているのが現状だ。(オルタナ編集部=吉田広子、池田真隆、松田ゆきの)

120カ国、452自治体がすでにカーボンゼロ宣言

所信表明演説をする菅義偉首相

国連気候変動枠組条約(UNFCCC)事務局のウェブサイトによると、「2050年までにカーボン実質ゼロ」を宣言した国は120、自治体は452、企業・組織は1650に上り、世界では「脱炭素」に向けた明確な目標設定と政策を進めている。

例えば、オーストリアやアイスランドは「2040年までにカーボン実質ゼロ」と、「2050目標」を10年も前倒しした。オーストリアは2030年までにクリーンな電気を100%使用することを目標に掲げた。

アイスランドはすでに地熱、水素などの脱炭素エネルギーを使用している。2030年以降ディーゼル車、ガソリン車の使用を禁止することを発表した。

国・地域別のカーボン実質ゼロの目標年と具体的な取り組み

フィンランドは2019年に「2035年までにカーボン実質ゼロ」の目標を掲げ、「気候変動法」の見直しを進めている。2035年までに商業目的の森林伐採を抑える、泥炭を含めた化石燃料を使った発電の段階的な廃止を目指す。

スウェーデンは2045年までに実質ゼロ、パリ協定の計画を前倒しし、すでに国内の政策で85%の温室効果ガス削減を達成した。米国カリフォルニア州は、2045年までに電力を100%再生可能エネルギーに切り替える政策を掲げる。

「所信表明演説よりも、具体的な脱炭素が重要」

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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