若者に世界の貧困問題について関心を持ってもらおうと、大学生がフェアトレードのファッションショーを2月10日に東京・原宿アストロホールで開催した。フェアトレードとは、児童労働の禁止や適正な賃金の保障といった「公正な取引」を意味する。こうした社会や人権を意識したエシカル(倫理的)な価値観は、若者にとって新たな指標になりそうだ。
世界人口は60億人を超えるが、その約 20%が1 日 1 ドル以下で生活している。貧困問題は開発途上国だけの問題ではなく、日本人にとっても無関係ではない。
途上国の過酷な労働条件の下で生産された安価な製品を購入するなど、知らぬ間に貧富の差を助長してしまう場合もある。そこで、途上国の生産者と適正な価格で取引し、生産者の生活向上に貢献するフェアトレードが注目を集めている。
フェアトレードのファッションショー「ハビ・コレ:あなたの一歩で世界は変わる」に集まった来場者は272人。主催は、国際協力NGOハビタット・フォー・ヒューマニティー・ジャパン(東京・新宿)の学生支部「関東キャンパスチャプター&クラブ」だ。青山学院大学、明治学院大学など関東にある7大学で構成されている。
ファッションショーでは、フェアトレード専門ブランドで、女優エマ・ワトソンさんとのコラボで有名な「ピープル・ツリー」を始め、4企業・団体の衣類を使用した。ワンピースやチェックのスカート、Tシャツ、ニットの帽子などカジュアルで可愛らしい衣装を着たモデルたちが登場すると、「フェアトレードって可愛いんだ」と歓声が上がった。
中でも注目を集めていたのが、カリスマ読者モデルで現役高校生の鎌田安里紗さん(18)だ。渋谷109ブランドとして人気が高いココルルの店員でもある。以前からフェアトレードへの関心が高く、今回はフィリピン製のフェアトレードのバッグやヘアゴムなどをデザインし会場で販売した。イベント後には、フィリピンの生産者を訪ねるという。今春からは、慶應大学総合政策学部に進学するそうだ。
運営にかかわった青山学院大学国際政治経済学部1年生の板里彩乃さん(20)は、「同世代の若者の国際問題への興味の低さを日々痛感していた。どうにかして国際協力についてもっと多くの若者に興味をもってもらうことはできないだろうかと、今回のイベントを企画した」と話す。イベントの収益金は、インドネシアで家を一軒建てる費用に充てられる。
会場は、「自分にも何かできるかもしれない」という熱気に包まれていた。エシカルであることが、今、若者の一つのモノサシになろうとしている。(オルタナ編集部 吉田広子)