てんぷら油でエコ燃料 「東京油田力」

プロジェクト「TOKYO油田2017」を説明するユーズの染谷ゆみ社長

てんぷら、揚げ物などの料理で使った食用油をバイオ燃料にする取り組みを進めるユーズ(東京・墨田区)は2月25日、「てんぷら油リサイクル『発電』大作戦」というキャンペーンを始めると発表した。これは今年の4月23‐24日に代々木公園(東京・渋谷区)などで行われる環境イベント「アースデイ東京2011」での発電を、2011人から集めた2011リットルの食用油を加工したVDF(バイオディーゼル燃料)で行う計画だ。同社の染谷ゆみ社長は「市民一人ひとりの参加で燃料を作り、エコな発電と社会を実現したい」と期待を述べた。

てんぷら油などの食用油は植物性で、それを加工したVDFは燃やしてもCO2や大気への有害物質の排出が少ない。これは一般家庭から食用油を回収する「東京油田力」というプロジェクトの一環。同社は06年から「アースデイ東京」にエコ燃料を供給してきたが、今回からは市民との一段と結びつき回収の広がりを期待する。

食用油でつくる燃料で走るユーズの車。見た目、性能はほとんど既存車と変わらず、大規模な改造も必要ない

ユーズはサポーターとなる企業や組織を募集し、回収への協力を一般市民に呼び掛けている。レストラン「びっくりドンキー」のチェーン本部、アレフ(札幌市)と協力して関東地区の19店舗で家庭用てんぷら油を回収の場を設けた。また関東地区の大学生によるサークル活動「エコ学園祭ネットワーク」、また横浜地区で料理油の回収を行う「横濱油田」、自然せっけんのミヨシ石鹸(東京・墨田区)などとも協力して目標の達成を目指す。

さらに油の精製の過程で出るCO2は、カーボンフリーコンサルティング(横浜市)の協力によってオフセット(相殺)してCO2排出のゼロ化を予定する。

ユーズは身近にある家庭用油のリサイクルを広げることで、循環型社会に向けた価値観の変革など、社会の変化を東京の食卓から生みだしたいとする。そして同様の取り組みを全国に広げる意向だ。

さらに同社は「東京油田力」を「TOKYO油田2017」という同社のプロジェクトにつなげたいとする。これは日本から出るてんぷら油を2017年までにすべて回収してエコ燃料にしようとする試みだ。「TOKYO油田」という名は、奇抜な響きに加えて生活のすぐそばにエコの可能性が眠っていることを示すために染谷社長が名付けた。

ユーズによれば、全国の食用油は飲食店からは20万kl(キロリットル)分が産業廃棄物として出されて再資源化される一方で、家庭用では20万kl分が排出されるがゴミとなる。その一部は排水溝に直接流され、海の汚染など環境破壊につながっている。(オルタナ編集部=石井孝明)2011年3月2日

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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