第一特集
「環境税は怖くない」
温暖化ガスを削減する有効な手段の一つ「環境税」はフィンランドが90年に導入し、欧州に拡大した。08年にはカナダと米国の自治体も導入した。日本では産業界の猛反対が続くなか、環境省は5年連続で法制化を目指している。導入にはどのような配慮が必要なのか、どうすれば反対勢力が納得するのか。先進各国の事例も見ながら検証してみた。
第二特集
「国内排出量取引 見切り発車」
二酸化炭素の「国内排出量取引」の新しい枠組みが10月に決まり、政府による参加企業の募集が始まった。産業界のCO2削減を促す目的だが、その産業界への配慮で「キャップ・アンド・トレード」の「キャップ」が企業の自主目標となり、罰金など強制的な削減措置が盛り込まれなかった。「妥協の産物」と言えること新制度で、本当に日本はCO2を削減できるのか。
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ナイロビ、忘れられた路上生活者
civilization
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オルタナティブ文明論 田坂広志 ウェブ革命によって、新たな経済原理が誕生する
第4回では、ネット革命とウェブ革命によって、人々が善意や好意など、自らの自発的意志によって行う「ボランタリー経済」が広がっていくことを述べた。そして、この経済は、これまでの資本主義社会において支配的であった、人々が「貨幣」の獲得を目的として行う経済活動、「マネタリー経済」(貨幣経済)に対して、その影響力を増していくことを述べた。では、その結果、何が起こるのか。
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環境負債 ほか (もり・ひろし/高橋さとみ)
企業の環境対応を指標化する手法に環境会計がある。これは環境保全の費用と効果を定量的に示した報告書のことで、経営分析などに利用されている。もっともこの指標、会計の名に似合わず財務とは独立した概念だ。
feature story 1
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環境税は怖くない
環境省の「5度目の挑戦」
温暖化ガスを削減する有効な手段の一つ「環境税」はフィンランドが90年に導入し、欧州に拡大した。08年にはカナダと米国の自治体も導入した。日本では産業界の猛反対が続くなか、環境省は5年連続で法制化を目指している。導入にはどのような配慮が必要なのか、どうすれば反対勢力が納得するのか。先進各国の事例も見ながら検証してみた。
feature story 2
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国内排出量取引、見切り発車
反対派・賛成派 双方から不満
二酸化炭素(CO2)の「国内排出量取引」の新しい枠組みが10月に決まり、政府による参加企業の募集が始まった。産業界のCO2削減を促す目的だが、その産業界への配慮で「キャップ・アンド・トレード」の「キャップ」が企業の自主目標となり、罰金など強制的な削減措置が盛り込まれなかった。「妥協の産物」と言えるこの新制度で、本当に日本はCO2を削減できるのか。
business wave
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安全な食事を子どもに、家に
ヘルスコンシャスな人が多いニューヨーク。オーガニック食材や惣菜はすっかり定番だが、今、ニューヨーカーが気にしているのは子どもの食事だ。「Kidfresh (キッドフレッシュ)」は、そんな親たちの悩みに着目して、子ども専用のテイクアウトフードビジネスを開始し、その人気はじわじわと浸透しつつある。
feature story 3
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「ソーシャル」がブランドを作る
企業の社会貢献活動は拡大の一途をたどっている。「コーズ・マーケティング」や「ソーシャル・マーケティング」などの手法も認知されてきた。だが、本当に「ソーシャル」で「ブランド」はできるのか。評価が高まってきた企業の実例をいくつか検証すると、一つの答えが浮かび上がった。
alterna person
子安美知子 あしたの国まちづくりの会 創設者
シュタイナー教育、日本に種を蒔く
教科書やテストがないことでも知られるドイツの「シュタイナー教育」を日本に紹介した子安美知子が千葉県に「あしたの国」を開いて4年半がたった。学校法人化の認可を目前に、試行錯誤の日々だが、子安は情熱を注ぎ続ける。学校教育の危機が叫ばれて久しい日本で、この学校は、あしたを照らす「灯」になれるのか。
alternative companies
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大地を守る会 食料自給率の向上へ「ポコ」を提唱
生産者約2500人、会員数約8万9千人。「大地を守る会」は、無農薬野菜の宅配事業としては日本で草分け的な存在だ。藤田和芳社長は東京・江東区の団地で無農薬野菜を売り始めてから33年、一貫して「日本の農業を守りたい」との思いで事業を続けてきた。その思いは年商144億円になった今も変わらない。
green media
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エコスゴイトレンド情報
(Greenz) 太陽とロバの華麗なコラボ 地球環境を映像で読む
つねに空に輝き続けている太陽。この燦々と降り注ぐソーラーパワーをユニークな形で利用したものが、次々と登場している。
(Green TV Japan) 地球上から消えゆく命
絶滅危惧種の恐れがある動植物を載せたリスト、それが「レッドリスト」。世界の政府機関や学者らで構成されたIUCN(国際自然保護連合)が、世界規模で作っている。
CSR1
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CSRトピックス 日本初、CO2排出量ゼロの駅 ほか
大阪府摂津市と阪急電鉄は、京都本線正雀駅‐南茨木駅間に新駅「摂津市駅」を2010年春に設置する予定だ。同駅は、駅利用に起因するCO2排出量をゼロにする、日本初の「カーボン・ニュートラル・ステーション」となる。
CSR2
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環境・CSRリレートーク コクヨ CSR部 山本 江香さん
社員ボランティアは呼びかけから
弊社の東京・品川オフィスでは、年2回、周辺の道路清掃を社員がボランティアで行っています。元々、荏原製作所様が行っていた活動に弊社が参加し、2007年に品川に本社を移されたソニー様をお誘いしたところ、活動に加わってくださいました。荏原製作所様が転出され、前回は2社で80人ほどの社員が、朝8時から40分、周辺の掃除を行いました。集めたゴミはペットボトル1.7㌔(500ml約50本)分など合計で約27㌔になりました。こうした清掃活動は、各地で行われていて、特に福岡の事業所では、毎週行われています。
私のエコひいき(オルタナ編集委員奥田みのり) 環境と人権はペアで
環境問題と人権問題は本来、背中合わせの切っても切れない関係にあると思う。米国の環境運動の一つに、「環境正義」(Environmental Justice)という概念を主張した運動がある。人種や経済力の違いにかかわらず、健康な環境を享受する権利を人々は平等に持っている―という、至極まっとうな主張をしている。この背景には、有害廃棄物処理施設などのいわゆる「迷惑施設」の所在地が、有色人種が多く住む地域とぴったり重なったという調査の積み重ねがある。
CSR3
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もう一つのブランド論 (阪本啓一) ビジネスの動機とは
ビジネス界に嵐が吹き荒れている。本稿執筆段階で、創業158年の老舗証券会社リーマン・ブラザーズが破綻、さらに米議会下院の、最大7千億ドルの不良資産買い取り制度などを柱にした「緊急経済安定化法案」(金融救済法案)が可決する・しないで、世界の耳目がメディアに集中し、「大手保険会社AIGがアリコを売却」という文字も新聞一面に踊る。
CSR経営論 (坂本文武) BOPと貧困ビジネスの境目
世界的な経済不安の発端となったサブプライムローンはBOPなのか単なる貧困ビジネスなのか。BOPの本質と日本企業にとっての留意点を考える。
CSR4
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ジョン・ウッドからの手紙 (ルーム・トゥ・リード)
「ファンドレイジング」は日本でもできる
ルーム・トゥ・リード(RTR)の東京チャプターは10月、ファンドレイジングイベントを立て続けに実施し、大忙しでした。有名ブランドや人気セレクトショップにご協力いただき、8つの小学校の建設資金(約2000万円)を集めることができました。
エコのご意見番 (木内孝) 企業に任せておいて良いのですか
環境やCSR活動は、企業に任せておいて大丈夫でしょうか。大丈夫ではありません。企業という存在が、今日の豊かさ、便利さ、現代文明の大部分に寄与した事は疑う余地がありません。
NPO1
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NPOフロンティア (原田勝広) ミャンマー、「援助は誰のものか」
08年五月にミャンマーを襲ったサイクロン「ナルギス」。死者7万7千7百人、行方不明5万6千人という甚大な被害をもたらしたが、日本のNGOが現地でいまも支援を続けていることを、誰か知っている人がいるだろうか。
NPO2
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NPOトピックス クイズに答えて、NPOにクリック募金 ほか
クリック一つで募金できる手軽さが売りの、クリック募金。クリックの前に環境や国際協力に関するクイズに答え、サポートしたい活動の知識まで得られる「Yahoo!ボランティア クリック募金(http://volunteer.yahoo.co.jp/click/)」が、10月から始まった。
news scramble
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電気を消して、スローな夜を ほか
12月21日(日)冬至の夜、「100万人のキャンドルナイト」が開催される。毎年、夏至と冬至の年2回20時から22時の2時間、主要な広告塔やオフィスの電気を消して、キャンドルを灯し、ゆっくりした時間を過ごそうという呼びかけだ。
reportage ハングリー・フォー・ミッション
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PLAS エイズ孤児の支援モデルを作る
ウガンダやケニアでは、HIV/AIDSによって親を失ったエイズ孤児の直面する差別などの惨状を改善するために生活苦を抱えて活動している現地の若者がいる。彼らとともに活動を展開するNGO「PLAS(プラス)」の3年間の活動とは。
environment 1 ニュースエッジ
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ハワイが再生エネルギーの島へ ほか
ハワイが脱石油の島に生まれ変わろうとしている。同州政府は代替エネルギーへの変換を促す計画を策定。2030年までに島が利用するエネルギーの7割を石油以外のクリーンエネルギーで賄うことを明らかにした。
environment 2
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藤井教授の環境金融論 (上智大学大学院教授) 「盛況のワークショップ」が映すもの
08年の10月から毎週水曜日の夜、大学院の新講義として「環境金融ワークショップ」を始めた。地球温暖化問題を考える上で、二酸化炭素(CO2)などの温暖化ガスを、どう算定し、いかに評価し、どれだけ開示し、どんな対策を打つか、などの諸課題を、その道の専門家を週替わりで講師として招き、徹底討論する試みである。
leisure
東京ポタリング (山本修二) 谷中の路地をのんびりと
情緒豊かな細道が無数に張り巡らされる街=東京。そんな道をつなぎ、自転車でゆっくりと走ってみる。歩くより早く、ちょっと楽して行けば意外な発見もある。たまの休日をほっこり過ごすための自転車散歩道を毎号ひとつずつ紹介する。
environment 3
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オルタナティブな空間 (馬場正尊) 小さなバーがつくる、地域の物語
僕の事務所、Open Aの1階には「bigote(ビゴーテ)」という名のイタリアンバーがある。僕が経営しているわけではないが、同じ屋根の下にバーがあることをずっと夢見ていたら、ある日ビゴーテが本当にやってきた。
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KIYOの哲学 実践編 (南清貴/井上敬) 動物性たんぱく質は少量で 生食と究食
縄文時代からあったといわれる味噌の原型に、中国から伝来した「醤」という調味料が合わさり、奈良時代頃に「未醤」という現在の味噌に近いと思われる食物に発展したことが文献に残っている。
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グリーン・グルメガイド (入れば、オーガニック キッチン&マーケット)
シナグロ 「高い」「まずい」「ダサい」を脱却
国内はもちろん世界中から取り寄せたオーガニックフードの中から、本当においしいものだけを厳選した食のセレクトショップ「CINAGRO(シナグロ)」。レストランを併設し、食べて気に入ったものをお店で購入できる「fromキッチン to マーケット」という新しいスタイルを提案している。
culture
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movie
「チェチェンへ アレクサンドラの旅」 古賀重樹 紛争地の殺伐、良心のもがき
現実の光と音をフィルムに焼きつける映画は、その情報量の膨大さで、およそあらゆる芸術様式を凌駕する。「エルミタージュ幻想」「太陽」などで知られるアレクサンドル・ソクーロフ監督が、紛争の続くチェチェンのロシア軍駐屯地で撮影したというこの劇映画も、そんな映画という表現形式のこの上ない豊かさを再認識させてくれる。
book
『地球にやさしい家に住もう』 エネルギー問題に省エネ住宅を
日本のエネルギー自給率4%に対して、省エネ住宅は、一般の人が取り組めることの一つです。エコロジー住宅で生活している人の生の声が聞きたいと思ったのが執筆の動機です。
dialogue
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田口ランディ - 「エゴからエコへ」 キュウリの声を聴く
久しぶりに、青森県弘前市にある「森のイスキア」に行ってきた。
岩木山の麓にある「森のイスキア」は、佐藤初女さんが主催する一風変わった民宿である。この地でひっそりと病んだ人たちをもてなしていた初女さんが世に知られるようになったのは、龍村仁監督のドキュメンタリー映画「地球交響曲第二番」に出演したことがきっかけだった。
alterna select
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パタゴニア ストームジャケット 100%リサイクル 今冬、始動
08年のウィンターシーズン商品が並ぶ鎌倉の店舗兼本社。どことなく米企業特有の、個人の空間を大切にする雰囲気が漂う。オークル色の木のキャビネットがあり、自然と風を感じられる。オフィス内は広々としており、ミーティングデスクはウッディーで重厚だ。
shop 一貨店礼賛
一貨店とは、百貨店の対極にあり、独自のこだわりから一つの分野において圧倒的な品揃えで勝負する、商いの形
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代官山、「クリスマス」だけで23年
「クリスマスカンパニー」は究極の「一貨店」だ。ツリーやオーナメントなどクリスマス用品だけで、東京・代官山で商いを続けている。今でこそ同じような店が2つ3つ現れたが、この店が日本の草分けだ。23年続いたのは、店主がクリスマスにこだわり、世界中から商品を集め続けた努力と情熱があったからこそだろう。