第一特集
頑張れ! 自然エネルギー
最近の原油価格の高騰ぶりは、すでに「第3次石油ショック」の様相を呈している。京都議定書の約束を守るためにも、低炭素社会を実現するためにも、わが国はエネルギー政策の転換が急務だ。にもかかわらず、グリーン電力が日本の総発電電力量に占める割合はわずか1%。何が日本での普及を阻んできたのか。どうすれば拡大できるのか。
第二特集
もう一つの「洞爺湖」
2008年G8サミットNGOフォーラム(以下NGOフォーラム)最後のイベント「市民サミット2008」(以下市民サミット)が、洞爺湖サミット直前の7月6日から3日間、札幌で開催された。その目的は、世界のNGO関係者がG8サミットをもっと市民社会に開くことと、G8リーダーに弱者や環境保護の立場に立った真摯な議論を促すことだ。主宰者の立場から、今回の市民サミットを振り返った。
第三特集
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ペットボトルの減らし方
昨年、「ペットボトルはリサイクルしないで燃やした方が良い」 と主張した本が大きな話題を呼び、リサイクル業者から大きな反発があった。 しかし、ペットボトルは使う量を減らしてゴミを減らすのが循環型社会の第一歩。 企業ぐるみで取り組んで社員の環境意識の向上にもつながったり、 新しいビジネスチャンスにつながる事例も増えてきた。
第四特集
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世界遺産の桜が危ない
奈良・吉野山でコケ類繁殖
豊臣秀吉が盛大な花見を開いたことで全国的に名高い「吉野の千本桜」(奈良県吉野町)が危機に瀕している。原因は不明だが、全体的に樹勢が衰えて菌類や寄生木の侵入が進んでおり、このままでは数年後に一斉に枯れる恐れも出てきた。世界遺産の桜が壊滅してしまうと、地元の自治体や有志が立ち上がり始めた。
alterna person
安井 至(東京大学名誉教授)
2050年、日本はCO・ の100%削減を
洞爺湖サミットの首脳宣言は「2050年までに温暖化ガスを半減するという長期目標を共有する」という玉虫色の表現にとどまった。長年にわたり、環境問題を科学者の視点で見続けてきた安井至氏は「まず日本は地球温暖化対策について独自のビジョンと目標を示すべきだ」と主張する。ポイントは、ハイテク技術による環境立国だ。
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オルタナティブ文明論
なぜ、情報革命が生命論的世界観をもたらすのか
第2回においては、現代科学そのものが、生命論的な世界観へと回帰していくと述べた。それを象徴するのが、「複雑系の科学」(complexity science)である。しかし、生命論的な世界観への回帰を促すのは、現代科学だけではない。実は、最先端技術もまた、社会の価値観を生命論的なパラダイムへと転換していく。
では、その最先端技術とは、何か。
photo gallery
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大地に根差す世界最大のアロエ
アフリカ、ナミビア南部キーマンシュープ近郊での一枚。大きな木は、この地原産のアロエ・ディコトマという木である。世界最大のアロエで、岩場の間をぬって百年もの間成長し続ける。雨が降らなくても一年ぐらいは生きることが出来るらしい。
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公益資本主義のススメ
スピルリナがアフリカを救う
5月末にパシフィコ横浜(横浜市)で開かれた「第4回アフリカ開発会議(TICAD)」には私も参加し、アフリカ各国の首脳とも活発に議論しました。アフリカで深刻な食糧危機は、もはや世界全体の問題になりました。
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ポーター仮説ほか
環境規制による企業活動への影響はプラスとマイナスのどちらに働くのか。経済学者の間で、今でも激しい議論が交わされている。その議論の軸足となるのが「ポーター仮説」だ。経済学者のポーターが1991年に提唱した。ちなみに同氏は経営戦略論の重要概念である、バリューチェーンの提唱者としても知られる。
alternative company
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ヘスナトゥーア:オーガニックファッションの先駆者
ドイツのオーガニック衣料品メーカー、ヘスナトゥーアは、シュタイナー人智学に造詣が深く、ナチュラリストであった創業者のハインツ・へス氏が、自身の生まれたばかりの息子に「真のオーガニック品質の衣料を与えたい」という思いがきっかけで1976年に誕生。現在では商品数8千点を誇り、ドイツ語圏のオーガニックファッション市場をけん引する。
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「有機シリアル」、オーダーメイドで
好きな食材を好きなだけ
ドイツ・バイエルン州のマイミューズリー社。創業者マックス・ウィットロック氏ら3人は、個人の好みに合わせたオーダーメイド・シリアルをオンラインで販売し、業績を伸ばしている。
marketing
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もう一つのブランド論
「寡黙」な価値が伝わるように
最近出会う、人体にも環境にも良い製品に共通している特徴がある。それは、「寡黙」ということだ。製品それ自体、一見すると何の変哲もない。派手さもない。対比すればわかりやすいのだが、例えば、iPodやWiiは、製品自体が饒舌で、機能や価値を簡単に理解できる。iPodのようにデザインや操作性が優れていたり、Wiiのように、従来のテレビゲームにはなかった遊び方ができる、とあれば、即時に良さを理解できる。
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エコスゴいトレンド情報: 本当に「ひと肌脱ぐ」人々
温暖化の影響からか、文字通り「ひと肌脱ぐ」アクションやキャンペーンが、欧米を中心に徐々に多くなってきている。
地球環境を映像で読む: 未来の地球は赤い?
地球シミュレータ「赤い地球」は、国立環境研究所が分析した温暖化シミュレータ画像をベースに、green.tvが映像作家の上野コオイチ氏と共に制作プロデュース。既に、映画館「TOHOシネマズのエコプログラム」で上映され、スカパーのeー天気・netでの放映も決まっている人気の話題作だ。
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リレートーク:電通 ソーシャルビジネス室 白州 達也さん
世に先んじたプラットフォームづくり
社会人17年目となる私は、大学修士課程で都市計画・まちづくりを学びました。社会をより良くするには、企業と行政・公共、そして市民が相互に協調する仕組みが重要だと考えるようになり電通に就職。5年目の1997年以降、環境やエコロジーのテーマと向き合うことになります。
CSR経営論
CSRは「推進」しないもの
原料・エネルギー価格の高騰、景気の減速傾向、労働時間の短縮と効率化による職場環境の変容、非正規労働者問題など、日本企業がおかれている経済環境を考えれば、CSRが求められる考え方を社内に浸透させ実践するのは至難の業である。
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ジョン・ウッドからの手紙
CEO60分で50万ドルが集まった奇跡
私はいま慌しい東京訪問からサンフランシスコに戻っているところです。取材や日本企業との打ち合わせ、ビジネスとNPOの新しい可能性を導く次世代のビジネスリーダーを対象にした慶応大学での講演会――。その中でも最大のイベントは、5月24日に行われたRTR(ルーム・トゥ・リード)のファンドレイジング(資金集め)パーティーでした。
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NPOフロンティア
ニューヒロインに見る社会起業家の条件
米国には「ザ・ニューヒーローズ」という時代を先取りしたテレビ番組がある。司会のロバート・レッドフォードが「いま世界に、ビジネス・スキルを使って世の中を変革しようとするイノベーターがいる。私はそういう人を社会起業家と呼びたい」とオープニングで宣言するというから楽しい。
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CSRトピックス:骨髄ドナーになるなら休暇扱いほか
フェリシモは、骨髄ドナーとなった社員に特別有給休暇を付与して出勤とみなす制度を6月21日から導入した。
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競争しながら温暖化を防止ほか
「温暖化防止はまず節約から」と言ってもいったい何から手を付けたらいいのかわからない。そもそもやる気が起きない。そんな人たちに向けた、温室効果ガスをユーザーがポイントで競いながら減らすコミュニティーサービス「Eco‐Challenge(エコチャレ)」(http://www.ecoichi.com)が始まった。
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仏 初のCO2排出量表示ほか
フランスの大手小売業カジノグループは、同社のプライベートブランド全商品に、CO2排出量を示す独自のラベル「カジノカーボンインデックス」の表示を開始した。食料品から着手し、今年末までに100以上の商品にインデックスを表示する計画だ。カジノグループは、スーパーやコンビニエンスストアなど、世界に1万店舗以上を構え、2007年の純利益は249億7200万(約4兆2300億円)に達している。
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藤井教授の環境金融論:「量」と「権」はどう違うか
ポスト京都議定書交渉の目標は、来年末にデンマーク・コペンハーゲンで開く国連気候変動枠組み条約締結国会議(COP15)。同会議の焦点の一つが、温暖化ガス排出量取引である。2005年から先行する欧州連合(EU)、オバマ、マケインのどちらが次期大統領になっても、09年中に取引制度導入が予想される米国。日本経団連の反対でこれまで議論さえ凍結したきた感のある日本も、ようやく今秋から試験的に取引制度を実施する。
私のエコひいき:中途半端なクールビズ
今年も、夏の軽装を促す国民運動「クールビズ」が始まっています。エアコンの設定温度を28度にしながら快適に過ごせるよう、ネクタイや背広の上着は脱ぎましょうね、というもの。確かに二酸化炭素(CO2)の排出削減にはつながりますし(推計ではありますが)、地球温暖化問題の啓発という点で意味のあることだとは思います。でも、私にはどうも中途半端に見えてなりません。
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オルタナティブな空間:馬場正尊
東京湾の倉庫を心地良いオフィスに
これは昨年設計したオフィス、東京湾の運河沿いの倉庫を改造したものだ。この場所をオフィスとして選んだのは、静岡を拠点に靴の製造及び輸入を行う「シードコーポレーション」の新ブランド「THE NATURAL SHOE STORE」。企業コンセプトは「身体に気持ちよく、環境にやさしい靴」。
health
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KIYOの哲学 実践編 南清貴/井上敬
完璧バランスの一品 理想の栄養素で「充欲感謝」
この料理を作って、まず食べてみることをお勧めする。その時、自分が何を感じるか、しかと確かめてみていただきたい。新鮮な野菜そのもののおいしさ、しっかりとした製法で作られた豆富という食材の素晴らしさ。いやいやそれだけではない。食べている途中から感じる、えもいわれぬ充実感があるはずだ。
food
61
グリーン・グルメ・ガイド:
オーセンティックパワーみなぎるオーガニックベトナム料理
アンティーク・ステンドの洒落たドアが印象的な東京・高円寺にあるベトナム料理店「ベトナミーズ・キュイジーヌ・オーセンティック」。
ベトナム料理といえば生春巻きやフォー(米粉で作る平打ち麺)が定番だが、シェフの中塚雅之さんは、まだまだある美味しいメニューをもっと身近に食してほしいと昨年12月にお店をスタートした。
culture
65
movie「いまここにある風景文明終焉の風景を中国で追う」
産業によって姿を変えてしまった風景を撮り続けるカナダ人写真家エドワード・バーティンスキー。彼が急速な経済発展を遂げる中国の風景を撮影する過程を、同じカナダの映画作家が追ったドキュメンタリー作品である。
book「中国汚染『公害大陸』の環境報告」中国の環境汚染は日本も加担?」
真赤な色の中国の川の汚染などを興味本位でとらえ、「嫌中」を煽る最近の風潮に違和感があります。淮河流域にがん患者が多い「がん村」のように、深刻な水汚染があるのは事実です。
dialogue
67
田口ランディ連載「エゴからエコへ」
湯河原の温泉で語り合う
と、思い立って「湯河原温泉合宿」なるものを始めた。我が町湯河原は万葉の頃から栄えた由緒ある温泉地。だが今や商店街にはシャッターが降り、旅館もどんどん潰れている。山あり川あり海あり温泉ありの良いところなのに、なぜ泊まり客が減っているのか。なにか地域に対してできることはないかと考え、年に数回、湯河原の温泉旅館にいろんな人たちを呼んで、合宿勉強会をすることにしたのだ。
reportage
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ハングリー・フォー・ミッション
日本の農業に一生を賭ける!
「日本の農業に一生を賭ける!学生委員会」(Spend Our Lifetimes for Agri-culture、略称SOLA=そら)。その名前から、彼らの意気込みが伝わってくる。ここまで農業に思い入れがある学生がいると聞けば、日本の農業関係者は頼もしく思うことだろう。何が彼らを動かしているのか。
special
70
「北風と太陽」公募イラスト優秀作品一覧
travel
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フランス・シャトーホテル巡り
騎士団の埋蔵金伝説の森
パリの喧噪から抜け出しわずか30分。突然進路を阻むように現れたうっそうとした森の奥にラペ城がある。ここはテンプル騎士団の埋蔵金伝説がささやかれる、いわくの森なのだ。
shop & goods
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一貨店礼賛:とうふ工房わたなべ「地産地消」はオーガニックより大事
一貨店とは、百貨店の対極にあり、独自のこだわりから一つの分野において圧倒的な品揃えで勝負する、商いの形
年商3億3000万円(08年6月期)。個店の豆腐店としては、おそらく全国でも3本の指に入る売上高だろう。店内には「ゆず豆腐」「黒胡麻豆腐」「青豆おぼろ豆腐」「白ざる豆腐」、豆乳、湯葉、油揚げ、がんもどき、豆腐ドーナッツと40種類以上の商品が並ぶ。
デザインコンシャス:UKI HASHI 箸置きの要らない「はし」
テーブルの上に美しく並ぶ「UKIHASHI(うきはし)」。その名の通り、卓上に置くと箸の先端が浮き上がり、箸置きが要らないという画期的なデザインだ。
alterna select
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ハートのタオルケット生産・流通の全段階で「オーガニック」 ほか
誤解を恐れずに言えば、ハートの山岡俊文社長は「オーガニックの完ぺき主義者」である。高知市にある本社を訪れると、ブラックライトの照明がある小部屋に案内してくれた。 「ブラックライトを当てて蛍光色に光ると、その衣類には何らかの化学薬品が付着していることなのです」。