環境配慮をうたう企業が増えている。消費者は何を思い、何を求めているのだろうか。このたび、それを知るヒントになる女性対象の調査が実施された。その結果によると、女性消費者の多くは潜在的なグリーン消費者だ。
メディアネット(さいたま市中央区)は、2011年1,2月に「エシカル(ethical)」をテーマに消費者の意識調査を実施した。調査対象は、同社が運営する女性向けコミュニティーサイト「レディネット・ハピーナ」の会員から抽出した20~40代の女性240人である。
同社は千人以上を対象にした2009年の調査をはじめ、数回にわたって女性の環境意識を調べてきた。エコが声高に叫ばれるにつれて、自由回答欄には前向きな意見だけではなく「本当に環境にいいのだろうか?」など、エコへの不信感が書き込まれるようになった。
そこで、今回はエコの先にある概念として「エシカル」をテーマに、その言葉の認知度やイメージなどを聞いた。エシカルとは、自然環境だけでなく人や社会にも配慮する「倫理的に(ethical)正しい」消費行動やライフスタイルを指し、フェアトレード(公平貿易)など社会貢献全般を含む。
「エシカル」という言葉を知っている人は全体の4%に過ぎず、グリーン購入(環境影響や企業の取り組みを考慮して商品やサービスを購入すること)を「いつも意識している」と答えた7%の人とほぼ重なっていた。
グリーン購入については全体の53%が「あまり考えていない」「ほとんど考えていない」と答えている。しかし一見すると無関心な層も、過半数が「エシカル」を「これからの時代に必要」と感じていて、「分かりやすい解説や説明を知りたい」という回答も3割を超えた。
同社の林利佳代表は「思いは確かにある」と総評する。「企業の環境配慮について、より正確で分かりやすい情報を発信してほしいと感じている女性消費者が多い。潜在的なエシカル消費者に火を付けてほしい」と社会を動かす企業の力に期待を込める。
企業から女性への情報発信が有効であることは、リビングくらしHOW研究所(東京都千代田区)が2010年に実施した「ミセスの太陽光発電と住宅エコポイントに関するアンケート」の結果にも表れている。全国の既婚女性714人を対象に、太陽光発電システムの導入を検討する場合の情報収集について聞いたところ、4分の1以上の家庭で女性が主導権を握っていた。
女性消費者は、自分が何をすれば貢献できるのかを知りたがっている。その思いに具体的に応える企業は、社会貢献と業績向上を両立していく可能性が大きい。(オルタナ編集部=瀬戸内千代)2011年3月12日