きょう3月22日朝も、東京電力は、地域ごとに停電する計画停電に踏み切った。 「第1グループ」(千葉、栃木、埼玉、群馬、神奈川、静岡の6県約250万世帯)が対象で、午前9時20分~午後1時までのうち、最大3時間程度停電となる
22日の計画停電は、第1から第4グループまでの実施が決定しており、第5グループの2回目(午後1時50分~同5時30分)と第1グループの2回目(午後4時50分~同8時30分)は、電力の需給状況を見て判断する。
東日本大震災の余波で東京電力は3月14日から、東北電力は3月16日から断続的に実施しているが、改めて、この計画停電は本当に必要なのか、考えてみたい。
東電のホームページによると、今日のピーク時供給力は3700万キロワット。需要見込みも3700万キロワット。
これくらいであれば、国民が一致して節電に協力すれば容易に実現可能である。Twitterで若者たちから生まれた「ヤシマ作戦」を是非、国民的な運動に広げていきたい。
それでも東電は、夏のピークには停電は避けられないと主張する。そもそも夏季のピーク需要は1年間のうちわずかな時期であり、逆に、このわずかのために電気事業者は必要な供給能力を確保しなければならず、これが電力供給コストの増加を招いている。
今年、暑くならないうちに、日本全体で節電のノウハウを蓄積し、ピークのわずかな時期を乗り切れれば、逆に電力事業者のコストを減らすことができる。電力ピークを減らす工夫を日本全体で進めれば、各電力事業者も余計な設備投資をしなくて済む。
テレビの画面に常にリアルタイムで発電量と使用量を表示し、その差が5%を切れば、「緊急地震速報」のように、「緊急電力危機速報」を流す。すると各家庭や店舗が一斉に、余計なスイッチを消す――。こんな仕組みも、技術的にはさほど難しくない。
究極の節電方法は、電気料金の値上げである。これほど即効性がある節電方法は他にない。
筆者も後になって知ったが、奇しくも、東日本大震災発生の当日(3月11日)に、太陽光、風力、水力、地熱、バイオマス発電に対する全量買取り法案が閣議決定された。
これらの自然エネルギーについては今後10―20年間、1キロワット当たり15―20円の範囲内で全量が買い取られ、その分は電気料金に加算される。
この金額を例えば30―40円に倍増してやれば、電気料金は上がるものの、自然エネルギーは飛躍的に普及する。電気料金が上がることで、家庭の電力需要は確実に下がる。
また、現在の電力料金は、家庭用については使えば使うほど単価が上がる「漸増単価制」で、逆に産業用は使えば使うほど単価が下がる「漸減単価制」である。
産業用も家庭用並みに「漸増単価制」に切り替えれば、さらに日本の電力消費は減らせる。
安易で評判が悪い「計画停電」を乱発するより、先にやるべきことが山ほどある。
(オルタナ編集長 森 摂)