第一特集
京都議定書 ツケは誰に
先進国に温室効果ガスの排出削減を義務づけた京都議定書の約束期間(2008―12年)が、いよいよ始まる。日本は二酸化炭素(CO2)などの排出量を 1990年比6%削減すると公約しながら、逆に8%近くも増やしてしまった。このままでは排出削減の目標達成は不可能で、その分は海外からCO2排出権を買って穴埋めするしかない。その額は、3兆円規模になる可能性がある。私たち国民に、企業に、さらには日本という国に重くのしかかろうとしている。
第二特集
間違いだらけのエコカー選び
日本で排出されるCO2のうち、自家用自動車の排ガスは6%を占める。ガソリン高騰もあって、次のクルマは「エコカー」でと考える人も多いだろう。だが、エコカーを巡ってはさまざまな誤解や俗説もあるようだ。その真偽を探ってみた。
オルタナ・ パーソン
藤井絢子さん(滋賀県環境生協理事長)
環境問題、滋賀から変える
環境問題に携わる人は多いが、この人ほどパワフルな人はそうはいない。日本唯一の「環境生協」を立ち上げ、循環型社会を提唱する「菜の花プロジェクト」は全国に広がった。だが、地元・琵琶湖の環境悪化は進み、喫緊の対策を訴えかける。待ったなしの地球温暖化対策は「滋賀が率先したい」。
ビジネス・ウェーブ
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社会起業家、22万人を貧困から救う
種油の絞り機。かんがい用ポンプ。貨物運搬用自転車――。先進国では平凡な存在だが、発展途上国ではお金を稼ぐための貴重な道具になる。アフリカに機械を輸出し、貧困の解消を目指すNGOが注目を集めている。
「おばぁちゃんの手編み」を事業に
老後の時間をもてあましているおばあちゃんたち。彼女たちのスキルを活かすビジネスはないか? スイスの起業家が始めた手編みソックス販売は、来るべき高齢化社会に一つのヒントを投げかける。
マーケティング
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もう一つのブランド論「ローカルに徹する」
ローカル・ビジネスに徹することで、注目されるブランドがある。北海道阿寒湖、サロマ湖、網走などで旅館、ホテルを経営する鶴雅グループ。「あかん悠久の里鶴雅」は業界紙(週刊観光経済新聞)の行う人気温泉旅館ホテル250選における部門(推薦理由)別ベスト100で、全5部門中3部門で第1位(風呂、雰囲気、施設)、残る2部門(料理、サービス)でも第2位と、堂々たる評価を得ている(観光業界のプロによるハガキ投票の結果)。大西雅之社長とお会いし、その秘密がわかった。
CSR経営論「CSRと不祥事に相関性はない」
今年8月、石屋製菓(札幌市)が菓子「白い恋人」の賞味期限を改ざんしていたことが発覚し、石水勲社長が引責辞任した。石水氏はプロサッカーチーム「コンサドーレ札幌」の発足に尽力したり、「北海道サマータイム」を主導したりと地域の社会貢献に積極的だったことで知られている。筆者も、企業の社会責任(CSR)関連の見本市で同社が協賛する子ども向けの社会教育番組を見たことがある。
ニューススクランブル
居酒屋で「マイ箸キープ」ほか
「ボトルキープ」ならぬ「マイ箸キープ」ができる居酒屋が話題を呼んでいる。
「八剣伝」「酔虎伝」などの居酒屋チェーンを展開するマルシェ(本社・大阪市)では、2005年10月から箸の携帯を推進する「愛のマイ箸1億人運動」を行っている。これに対し、一部の常連客から「持ち歩くのが面倒」という声が上がり、昨年7月より一部店舗でマイ箸キープのサービスを開始した。
フード
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鮨 大内
無添加は美食の基本
東京・青山通りの喧騒から一筋奥へ。和の店構えに縦書きで記された「化学調味料一切不使用」。鮨 大内の主人・大内久司さんは、あらゆる化学添加物を拒否する頑固なすし職人だ。
八千代牛乳「ビン牛乳ーノンホモ」ほか
消費期限5日間 搾りたての味わい牛乳
1951年、安心安全の無調整牛乳をつくりたいという酪農家が集まって誕生した八千代牛乳は、生乳の鮮度と品質をそのまま消費者に届けてくれる。
健康
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KIYOの哲学「細胞に正しい油を」
地球は水の惑星だ。表面の大半は海、つまり水であるし、周りを取り巻く大気にも、多くの水分が水蒸気として含まれている。こうした環境の中、動植物たちは細胞膜を形成し、一つ一つの自らの細胞に核を持ち、それぞれのDNAの指令に基づいて細胞を分裂させ、増殖させる行為を営々と繰り返してきた。その細胞膜がもし、水に溶ける物質でできていたらどうなるだろうか。
水で体も心も環境もきれいに
もっと野菜を食べる、ひと駅降りて歩くなど、健康のために取り入れたい習慣は多いけれども、生活習慣を変えるのはひと苦労。そんな多忙な皆さんに勧めたいのは「水をたっぷり飲むこと」だ。簡単だし、何と言っても続けやすい。
オピニオン
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日産自動車株式会社
グローバルコミュニケーション・CSR本部 広報・CSR部
鈴木 朝子さん
CSR専任部署は今やどの企業にも設置されていますが、設立の背景や体制は、企業の業態・文化によってさまざまでしょう。当社のCSRは2003年初夏、CEOのカルロス・ゴーンから「サステナビリティレポートを発行せよ」という指示が広報部門に下りた時点から始まりました。
ダイアローグ
35
田口ランディ連載「エゴからエコへ」
ゴミを捨てて幸せに
「その引き出しをまるごと捨てても困りません」
百貨店のエレベータのなかで、つい隣の会話に聞き耳を立ててしまった。
「……って、その本には書いてあったのよ。本当にその通りだなと思って」
若い女性二人連れだった。どうやら最近読んだ本の話をしているらしい。その本は「整理術」の本で、ゴミを捨てると運が良くなるという内容なのだそうだ。エレベータの扉が開くとそこはインテリア売り場で、モノが溢れかえった店内に飲み込まれるように二人は消えて行った。
カルチャー
36
映画「ミリキタニの猫」
9・11を機に浮かび上がった人生とは
この物語は、ニューヨークの映像作家リンダ・ハッテンドーフが1人の路上生活者に興味を持ち、何気なくカメラを向けたことに始まる。彼の名は、ジミー・ミリキタニ。80歳になる彼はソーホーのコーナーストア脇に「居」を構え、一心不乱に絵を描いていた。極彩色の色遣いと独特のタッチの作風は、何とも言えない魅力がある。
本「それでも自転車に乗り続ける7つの理由」
警察庁が開けた「パンドラの箱」
この本で最も強調したかったのは「自転車と交通行政」のことでした。2月7日、自転車活用推進議員連盟(自転車議連)の総会に警察庁の幹部が訪れ、改正道路交通法(08年7月施行予定)の骨子を説明しました。
エコライフ
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パトリック・ハーランさん
日本にいることが一番のエコ
――通勤はいつも自転車ですか。
ほとんどの場合そうですね。4才で初めて自転車に乗ってからずっと自転車のある生活をしています。10才から高校卒業まで続けた新聞配達のアルバイトにも自転車は欠かせず、青春時代はBMX(競技用の小径自転車)に明け暮れ、東京にきて真っ先に買ったのも自転車でした。
トラベル
41
フランスシャトー巡り
霧の古城に封じられた陰謀
世界遺産のロワール渓谷。温暖な気候にめぐまれたこの地には、歴代のフランス王に愛された豪華な城が点在する。
ショップ・グッズ
43
銀座夏野
漆塗りの箸で伝統を伝える
99年、銀座に開業した「銀座夏野」は漆塗りの箸を主体にした専門店である。単独の店舗としては最大級の品揃えだろう。ほぼ毎食ごとに使い、口に入れる道具でありながら、箸はこれまでスーパーや日用雑貨店の片隅にしかなかった。「人がやらないことに挑戦したかった」という高橋隆太社長(34)は全国各地の漆職人を訪ね、こだわりの箸を集めてきた。
KAMISHIMA CHINAMI
自然の産物と見紛う生命感
木の実か雪の結晶か。不ぞろいに枝分かれした先に実をつけた純白の珠が、線のように細くよられた紙の糸で不規則に連なっている。