いまだライフラインも整わない中、被災地での生活を強いられている子供たち――。東日本大震災発生から半月が過ぎた今、長期的な視野に立った物心両面での支援の手が、各方面から伸びつつある。
子供の中でも被災地の乳幼児には、医療や栄養など専門的なケアが欠かせない。震災後、厚生労働省は関係する各学会に協力を依頼した。日本産婦人科医会や日本産科婦人科学会は、ホームページで被災地の妊婦や乳幼児向けの情報を集約している。全国に助産師ネットワークをもつ日本助産師会は、国際NGOジョイセフおよび日本家族計画協会と協力して、被災地支援を展開している。
母乳が思うように得られない場合、離乳前の乳児は、粉ミルクや月齢にあった離乳食で命をつなぐ。育児用の粉ミルクは、日本乳業協会が3月16日までに約3万缶(1缶850グラム)を用意した。各メーカーも急きょベビーフードなどを手配した。しかし物流の事情もあり、即日すべての乳児に行き渡ったわけではない。
被害規模が明らかになると、これまで途上国を支援してきた国際NGOが、日本の支援を始めた。16日以降、ワールド・ビジョン・ジャパンは被災地に粉ミルクや紙おむつを運んだ。16日にセーブ・ザ・チルドレンは宮城県内の避難所に子供用の遊び場として「こどもひろば」を複数開設。19日にはプラン・ジャパンも同県内に「子供ランド」を設置した。そして24日には、ユニセフが「半世紀ぶりの日本支援」を決めた。
官民協働のプロジェクトも始動した。「赤ちゃん一時避難プロジェクト・湯沢」は、南三陸町から越後湯沢に向けて第1便の疎開バスを29日(火)に出発させる予定だ。また、「プロジェクトまちごと」は、40トンのおもちゃ、文具、下着を避難所の子供に届ける取り組みを開始。同時に、新年度に向けて、文部科学省と協力しながら学校機能の回復も図っていく。
厚労省は児童福祉司や児童心理司の被災地派遣を始めた。日本心理臨床学会は支援活動委員会の特設ブログで子供の心のケアと、その注意点について情報発信している。しかし、パソコンが不足し停電が続く地区では、アクセスすらままならない。
子供を抱える保護者は、被災地で幼子の命を守るという大仕事をしている。子供の口に入る野菜や水道水が原発事故で汚染される事態となり、保護者の震災ストレスに拍車をかけた。子供の心に寄り添う専門家派遣や、遊び場の提供といった子供向けの支援は、おそらく保護者のリフレッシュにも有効だろう。(オルタナ編集部=瀬戸内千代)2011年3月27日