3月27日に行なわれたバーデン・ビュルテンベルク州議会選挙では、58年間政権を握ってきたキリスト教民主同盟(CDU)が票を減らして38.8%の得票率となり、緑の党が24.2%と倍以上票を伸ばして第二党となった。これにより23.5%の社会民主党と緑の党が与党を組んで、ドイツで初めて緑の党の州首相が誕生する見込みとなった。CDUのパートナーである自由民主党(FDP)は5.1%の前回の2006年の半数以下の得票にとどまった。
ドイツでは日本の原発事故を受けて反原発世論が高まっており、CDUが強かった同州での敗北は大きな波紋を広げている。現政権(CDUとFDP)が昨秋決定した原発稼働延長について、3月14日に3カ月の暫定停止を決めたが、かえって政府の一貫性のなさを露呈したといわれる。ノーベルト・レットゲン環境相(CDU)は一刻も早い脱原発を促進することを3月28日発表した。
3月27日にはラインラント・プファルツ州でも州議会選挙が行なわれ、SPDは第一党のままだが10.2%減らし、CDUは1.4%の微増で34.2%に。前回は4.5%で政権に入れなかった緑の党は16.8%を集めて第3党になった。FDPは4%しか得票できず、ドイツでは5%未満の得票率では議席を取れないため議会から締め出された。連邦政府の与党であるFDPが同州で政権に入れない事態となり、FDPの求心力が疑問視されている。
福島原発の行方に多くのドイツ人が注目しており、3月26日のベルリンなど4都市で行なわれた大規模なデモには総勢21万人が参加し、脱原発を訴えた。親子連れも多く、子どもの将来を心配する声も多く聞かれた。週刊誌シュピーゲルによると、連邦環境省は11ギガワットの余剰電気がすでにあり、かつ天然ガス熱発電所の建設により2017年の脱原発が可能だとしている。(在ドイツ 田口理穂)