太陽光やバイオマスなどの自然エネルギーの供給を行うNPOなど8組織は4日、自然エネルギーを使って、東日本大震災の被災地にエネルギーを供給する活動「つながり・ぬくもりプロジェクト」を始めたと発表した。立ち上がりが早く、小規模のニーズに素早く応じられる自然エネルギーの利点を活かしながら、被災者の支援に役立てる予定という。
被災地では生活の復旧に必要な電気の回復が遅れている。春先の寒さをしのぐ暖房、風呂や炊事など衛生の改善や生活面で不可欠な給湯、そして治安維持や生活のための照明の回復が、行政や各避難所と仮設住宅の現場から各団体に伝えられている。そこで、できることを集約して提供することにした。
太陽光では岩手、宮城、福島の避難所や仮設住宅などに太陽電池を設置し、電力事情の改善を目指す。メンバーの自然エネルギー事業協同組合のレクスタは太陽光発電メーカーのソーラーフロンティアから発電能力1000キロワット分の発電モジュールの提供を受けている。これを約330カ所での設置を予定している。
バイオマスではNPOの岩手・木質バイオマス研究会がかまどを使った、お湯の供給をすでに開始した。また太陽光を使ったお湯の提供をNPOのぐるっ都地球温暖化対策地域協議会が250カ所で行う予定だ。
その他にも株式会社エナジーグリーン、WWFジャパン、バイオマス産業社会ネットワーク(以上東京)、森と風のがっこう(岩手)などが参加し、環境エネルギー政策研究所(ISEP)が事務局となる。いくつかのNPOなどが参加を表明し、その数は増える見込みだ。現地の行政機関やNPOとも今後連携を進める。
ISEPの飯田哲也所長は「原発事故や計画停電で、大規模集中型の発電からの転換の流れができている。分散した電源となり、安全に供給できる自然エネルギーの利点を活かして、被災地を支えたい」と話した。一部ではエネルギーの提供を開始しているが、さらなる拡大のために、設置費用などの資金を今後、企業や個人から募るという。(オルタナ編集部=石井孝明)2011年4月5日