東日本大震災で日本経済の今年の景気下振れの懸念が広がっている。各種調査は消費の低迷や電力不足による景気の下振れ見通しを示し始めた。終わりの見えない原発事故や金額を確定できない巨額の復興による政府支出への懸念もある。
日銀は4日、3月の企業短期経済観測調査(短観)で震災後の回収分に限定した業況判断指数(DI)を公表。3カ月後の先行きは大企業製造業でマイナス2と現状より8ポイント悪化し、非製造業もマイナス4と11ポイント落ち込む結果になった。
民間シンクタンクは11年度の経済見通しを軒並み下方修正し、悲観的なBNPパリバ証券は、消費の冷え込みなどで実質GDP(国内総生産)が対前年度比マイナス0.9%のマイナス成長に転じると予想している。
電力不足も陰を落とし、第一生命経済研究所は今年の電力供給が関東と東北で約11%減るとした場合に「鉱業」「非鉄金属」「ゴム製品」の落ち込みによって産業分野では3.9兆円分(産業部門GDP0.84%分)の生産縮小が起こりかねないと試算した。(オルタナ編集部=石井孝明)2011年4月5日