フジサンケイグループが主催する「第20回地球環境大賞」で大賞に選ばれた東京電力が、授賞を辞退する意向であることがわかった。同社の清水正孝社長が13日の会見で明らかにした。福島第一原発事故が最悪のレベル7に暫定評価される中での受賞に対しては批判の声が広がっていた。
地球環境大賞は「産業の発展と地球環境との共生」をテーマに、持続可能社会に寄与する企業活動を顕彰する目的で1992年から実施。今回の東京電力の授賞理由は、同社の川崎火力発電所から発生した蒸気を熱源として隣接する工場に供給し、大幅な省エネを実現したというものだった。
ところが東日本大震災にともなう福島原発事故で、同社はリスク評価の甘さと初動対応の失敗から爆発や大量の放射性物質の拡散、付近住民の避難の長期化等にみられる一連の「原発震災」を引き起こした。同社は授賞を辞退する方向とはいえ、甚大な環境汚染を引き起こした企業を大賞に選んだ同賞の権威は完全に失われた形だ。(オルタナ編集部=斉藤円華)2011年4月14日