甚大な被害を受けた宮城県石巻市渡波町。瓦礫だらけの町並みの中で、衣料品や下着を配るユニクロ社員の姿があった。通称「衣料お届け隊」。3月24日から毎週末、宮城県の石巻市、気仙沼市、多賀城市などで、社員の有志が被災者に支援物資を配布しているという。
カジュアル衣料品店ユニクロなどを運営するファーストリテイリンググループは、被災地の支援物資として、防寒衣料のヒートテック30万点をはじめ、肌着、アウターなど、ユニクロ、ジーユー両ブランドの衣類等7億円相当の寄付をすると3月14日に発表した。
震災発生後、一刻も早く衣料を提供したいという思いから、3月20日から順次、宮城県に47万着、福島県に30万着、岩手県に5万着、茨城県に3万着、各対策支援本部に向けて発送した。だが、特に大きな被害を受けた宮城県では、自治体機能を失っており、支援物資を被災者に届けるまでに2週間程度かかるといわれた。
ならば、自分たちの手で被災者に衣類を届けようと、「ユニクロボランティアクラブ」が中心となり、社員の有志で宮城県に向かった。
ヒートテック製品、下着、靴下、デニム、子ども用の各サイズをそろえたフリース――。これらを受け取るために、配布場所には長蛇の列ができる。昼間、被災者らは、家の片付けなどで服が汚れるので、スウェットも喜ばれた。被災地では、ユニクロ社員は、15人1チームで4班に分かれ、一日で約1万着を配布しているという。4月末まで毎週末、被災地で活動するそうだ。
ファーストリテイリングCSR部・シェルバ英子さんは、「今は復興までの過渡期。現在は衣料の提供が喜ばれるが、中長期的に有効な支援を考えたい。店頭での義援金募金も引き続き行っていく」としている。(オルタナ編集部=吉田広子)