文部科学省が福島県内の校舎や校庭における児童の年間被曝線量の許容限度を20ミリシーベルトに緩和した問題で、4月29日に内閣官房参与を辞任した東京大学大学院の小佐古敏荘(こさこ・としそう)教授が「20ミリシーベルトは緊急時にのみ許容され、その期間は長くても2週間」との見解を示した。
小佐古氏は29日の辞意表明の記者会見の席上、「内閣官房参与の辞任にあたって」と題した文書を配布。同日、NHK科学文化部のブログに掲載された。それによると、20ミリの被曝線量の対象となるのは原発の放射線業務従事者の中でも極めて少ないと指摘。その上で「緊急時(2、3日あるいはせいぜい1、2週間くらい)に運用すべき数値をこの時期に使用するのは、全くの間違い」と文科省の判断を批判している。
文科省は「緊急時」がどの程度の期間を指すのかを示しておらず、「その場限りの場当たり的な対応」で小児を危険な被曝水準にさらし続ける責任は極めて重大だ。(オルタナ編集部=斉藤円華)2011年5月1日