【ドイツ=田中聖香】ドイツ政府は2022年までに原発からの完全撤退を計画していることを、4日付の『ライニッシェ・ポスト』紙が報じた。福島の原発事故後に稼動を一時停止した古いタイプの原発8基は凍結を続け、国内のその他9基の原発については2018年から2022年までに段階的に稼動を停止させていくとしている。
メルケル首相は4月15日に野党を含む国内16州の首相らと協議し、原発稼動期間短縮で合意していたが、この時点で明確な期限は設定されていなかった。
同紙報道によると5月末の原子力倫理委員会、同安全委員会の最終答申を待って最終決定され、6月6日に原子力法改正案を閣議決定。10日に連邦議会で可決されれば、17日にも連邦参議院で承認される見込みという。
この場合、ドイツ政府は福島の原発事故からたった3カ月でエネルギー政策を180度転換しただけでなく、脱原発への具体的な歩みを始めたことになる。
ポスト原発の発電手段は、風力発電、太陽光発電などの再生可能エネルギー発電の拡大が中心になる。折りしも今月2日には北部メクレンブルク=フォアポメルン州のバルト海に、大規模洋上風力発電施設「バルティック1」が、稼動を始めたばかり。発電機21機、48,3メガワットの容量を持ち、50000世帯への電力供給を開始している。(2011年5月6日)