【ドイツ=田中聖香】独電力大手のRWE(本社エッセン)は9日、英国ノッティンガムシャー州ステイソープで6億5000ポンドを投じたガス・蒸気発電所を稼動開始した。発電能力1650メガワット、280万世帯への電力供給が可能で、この種の発電施設としてはヨーロッパ最大規模。最新技術の導入により、従来の火力発電所と比較して二酸化炭素の年間平均排出量を最高750万トン削減することができる。
CEOのユルゲン・グロースマン氏は「ガス・蒸気発電は即効性のあるオールラウンダー。立ち上げ後90分で100%稼動状態にできるので、風力発電など自然エネルギー発電のバックアップにも使える」と話している。
風力発電で先行するイーオン社(本社デュッセルドルフ)は、これに先立つ4日、米イリノイ州セトラーズ・トレイルに94機のタービンを備えた陸上風力発電所のテスト稼動を開始。
同社は過去3年間に米国で14ヵ所の風力発電所を開設しているほか、ドイツ国内では北海沖アムルムバンクに発電能力300メガワットの洋上発電施設を計画、また世界最大規模の北海ロンドンアレーの風力発電施設建設(1000メガワット)にも共同参画している。今後3年間に26億ユーロを自然エネルギー分野に投資し、その発電能力を現行の6倍まで引き上げたい意向だ。
一方、後発のEnBW社(本社カールスルーエ)社も今月2日からドイツ北部のバルト海上に発電機21機、48,3メガワットの容量を持つ風力発電施設をスタートさせている。純粋な民間企業運営の洋上風力発電施設としてはドイツ初で、メルケル首相が自らカウントダウンのボタンを押した。来年には6倍の規模の「バルティック2」の着工が予定されている。
連邦政府は2050年時点で電力消費量の80%を自然エネルギーで供給することを目指しており、来年予定されている自然エネルギー法改正に向け、6日に報告書を発表したばかり。この中でも自然エネルギー利用をさらに促進するための具体案が勧告されており、電力各社の自然エネルギー部門拡充に一層拍車がかかりそうだ。