政局の混乱から、ベルギーの無政府状態がもうすぐ1年を迎えようとしている。だが、共同体組織や地方自治が進んでいることもあり、連邦政府なしでも国民生活に大きな影響はでていない。
ベルギーでは、昨年6月の総選挙でオランダ語圏の新フラームス同盟が下院第1党に躍り出た。しかし、連立交渉の難航から正式な政府が無い状態が続いている。
2007年にも無政府状態が193日間続き、国民の間には国家分裂の危機感が高まった。だが今回は、複数の「共同体」や「地域」など自治機関が多くの権限をもち、軍事はブリュッセルに本部をもつEUやNATOに頼れる。このため、国民は連邦政府なしでも国が機能することに慣れきった感がある。
一方で、増え続ける負債などの財政問題や、国の長期的ビジョンのためには連邦政府が必要と、早期成立を求める声も高まっている。
二度の中間報告を受けた国王は5月16日、昨年10月に続き関係各党の党首たちと会談した。しかし、依然として見通しは立っていない。(オルタナ=ベルギー・川崎陽子)