NPO法人 N・C・S(東京・渋谷、山下保博理事)と一般社団法人日本トレーラーハウス協会(東京・台東、大原邦彦代表理事)はこのほど、東日本大震災のための仮設住宅にトレーラーハウスを活用する「笑顔の再生『モバイル・すまいる』プロジェクト」を発表した。
基本ユニットは、木造の2LDK +ロフト(約44平方メートル)が1戸(台)500万円(移送・仮設置費込み)。応急仮設住宅は通常2年間で撤去されるが、当案は仮設地から移動して本設置できるので、長期優良住宅になり得るのだ。
N・C・Sは、建築設計11社、施工会社7社、建材会社6社、職人3242名、その他デザイナー数十名などのネットワーク組織だ。阪神淡路大震災の時、建築家として、迅速に安価でより快適な住宅をつくる必要を感じた山下氏が立ち上げた。
当初から良質な住宅をつくり、撤去せずに本敷地へ移動するのが「モバイル・すまいる」のコンセプトだ。また、被災地では資材や職人が不足することを考慮し、首都圏で建設して移動させるという発想が生まれ、トレーラーハウス協会の協力を得ることとなった。
建物は建築基準法を満たすと共に、移動時の風圧等にも適合するよう構造設計がされ、耐用年数は30年以上あるという。高断熱の環境設計もされている。住戸タイプは、基本ユニットの他に1LDK(18平方メートル/300万円)、2LDK(22平方メートル/350万円、27平方メートル/ 550万円)など複数タイプを用意し、テラスの増設も可能だ。
また、現地のボランティアのための施設として「モバイル銭湯」や「モバイルステイ(宿泊施設)」、コミュニティ施設として「なんでモバイル」を提案。企業協賛、個人からの資金援助を募っている。
5月17日、大畠章宏国土交通相は、お盆までに必要数の建設が「おおよそ実現」できると発表した。東北3県の HPによると、宮城12730戸、岩手10463戸、福島 24000戸の応急仮設住宅が予定されている。しかし、これらは2年後の撤去が前提だ。
神戸市の資料によると、1995 年に32346戸の仮設が建設され、約6年後に完全撤去。その内12625戸が海外の地震災害など被災地支援に提供された。撤去や移送、リサイクルに費やすコストやエネルギーも踏まえた供給体制が望まれる。(オルタナ編集部=有岡三恵)2011年5月18日