全国銀行協会の奥正之会長(三井住友フィナンシャルグループ会長)は19日の記者会見で、東京電力の損害賠償をめぐり、枝野幸男官房長官などが13日に金融機関による東京電力向け融資の一部債権放棄に言及したことについて、「債権放棄や金利減免は念頭にない」と述べ、政府の意向に反論した。奥会長は「原子力損害賠償法に基づき、国と原子力事業者がどういう分担をするかという問題だ。株主、社債権者や金融債権保有者らは負担しない枠組みと理解している」と指摘した。
また日本航空の稲森和夫会長も18日「東電の行く末がまだ決まらない中で債権放棄というのは問題ではないか」との意見を述べた。枝野官房長官の発言以来、株式が一時値を下げるなど、金融市場や経済界に動揺が広がっている。
枝野長官は19日、「公的な目的のために国が一定の支援を行うかぎり、普通の民間企業と違う」と述べ、経済界に理解を求める姿勢を示した。(石井孝明)