スイス政府は25日、23年後の2034年をめどに国内の原発5基をすべて停止すると決定した。
早期停止ではなく、5基とも予定運転終了年(建設後50年)まで稼働させる意向だが、ドリス・ロイトハルトエネルギー相は「安全性によっては50年より早まるかもしれない。一方で60年になることもあり得る」と絶対的な停止計画年はないと語り、残りの運転年数を決めるのは政府ではなく安全性であるとした。
現在、国内総電力の39%を占める原子力発電に替わるのは、自然エネルギーだ。同相は安価な原発のコストが安全性の補強などの理由により、将来的には太陽光発電よりも高くなることに言及し、「自然エネルギーの分野で新技術の開発が進み、雇用が増え、スイスの国際的な地位向上につながるだろう」と期待。水力発電も増設したいという。具体的な自然エネルギー政策はこれから着手する。
スイスでは、22日に、チェルノブイリ原発事故後の大規模原発デモ以来の2万人規模の反原発デモが行われるなど、国民の脱原発気運は高まっていた。(オルタナ編集部=チューリヒ・岩澤里美)