独プーマ、初の環境P/L報告書発表

プーマの発表した環境P/L報告書

スポーツとライフスタイル製品で世界3位のプーマ(本社ドイツ・ヘルツォーゲンアウラッハ)は、環境P/L報告書を公表した。これは、プーマと同社 サプライチェーンの中で発生する温室効果ガスと水の消費が生態系に及ぼす影響を経済評価したもの。企業がこうした数値を発表するのは世界初という。

報告書によると、プーマグループ全体の2010年の環境への影響は9440万ユーロ(約109億5040万円)に相当する。内訳は、温室効果ガスが 4700万ユーロ(約54億5200万円)、水消費が4740万ユーロ(54億9840億円)で約半々。ただ、このうちプーマ本社事業の相当分は720万 ユーロ(約8億3520万円)で、温室効果ガス排出量の15%、水消費量のわずか0.001%を占めるのみ。残りの8720万ユーロ(101億1520万 円)相当の影響は、サプライチェーンの他部分で発生している。

中でも影響発生の度合いが高いのは、原材料の生産プロセスだ。この段階だけで温室効果ガス排出量全体の36%(1670万ユーロ=19億3720万 円)、水消費量の52%(2470万ユーロ=28億6520万円)を占める。たとえばTシャツ製造なら、最も環境に影響を与えるのは綿の栽培ということに なる。

プーマは報告書作成にあたり、本社中核事業だけでなく、サプライチェーンを製品の製造(第1層)、刺繍や靴の外底製造など外部委託工程(第2層)、 革なめし、化学品業界、石油精製などの原材料加工工程(第3層)、綿の栽培、石油採掘などの原材料生産(第4層)に分類。二酸化炭素1トンあたりの価値を 66ユーロ(約7600円)、水の平均的価値を1立方メートルあたり0.81ユーロ(約94円)と設定して、それぞれの環境影響数値を算出した。報告書の 数字はプーマグループによる環境への負荷軽減措置の基準となるが、同社の純利益に影響を与えるものではないとされる。

プーマCEOのヨヘン・ツァイス氏は「環境影響を金銭化、視覚化することで、経営陣とシェアホルダーは、経営判断が環境に及ぼす影響をより明確に認 識でききる」と話している。ドイツ国内では既にシーメンス、ダイムラーといった大手企業からプーマに照会があったという。(オルタナ編集部=デュッセルド ルフ・田中聖香)

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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