ドイツ連立与党が29日に合意した2022年までの原発撤退に対して、ドイツ産業界やスウェーデンの環境相らから懸念の声が上がった。
ダイムラー社のディーター・ツェッチェCEOは地元紙「ビルト」に対し、「採算の合う(現在の)エネルギー供給体制を変更することは、国内に立地する企業にとってリスクだ」と語り、福島原発事故後のドイツ政府の政策転換を「非常に感情的なもの」と批判している。
また、国外ではスウェーデンのアンドレアス・カールグレン環境相が「ドイツ政府は脱原発の期日にこだわりすぎ。再生可能エネルギーの拡充がどれくらい早くできるのかという点がなおざりにされている」と語った。批判の背景には、スウェーデン政府所有の電力会社ヴァッテンファルのドイツ子会社が、北ドイツで2カ所の原発を運営していることがある。
ドイツの世論調査では、国民の8割以上が脱原発に賛成しており、今回の合意も市民の間では冷静に受け止められている。(デュッセルドルフ=田中聖香)