東京電力は福島第1原発事故をめぐる賠償金の仮払いを始めた。31日には茨城県と栃木県の農漁業3団体に5億円を支払った。東京電力が農業や漁業の被害に仮払いを実施したのは初めて。今後は被災住民や中小企業への支払いが本格化する。
31日に行った仮払いは、賠償範囲を定めた国の第1次指針に基づき、出荷制限による営業損害を対象とした。第2次指針に盛り込まれた風評被害などについては、対応策の具体化を急ぐ。同社によれば、原発事故で茨城、栃木両県の農業者や酪農団体、それに漁業団体などから、被害を受けたとして110億円の損害賠償を求められている。今後も福島県や関東のほかの県でも引き続き仮払いを進める。
また第1原発から半径20キロの避難区域などの中小企業に対しても、1日から250万円を上限とした補償金の仮払いを進める。避難を強いられている住民およそ5万世帯に対し、これまでに総額470億円の仮払金を支払った。
(オルタナ編集部=石井孝明)
■東京電力プレスリリース(5月31日)原子力事故による損害に対する仮払いの取り組み状況について
http://www.tepco.co.jp/cc/press/11053104-j.html