
先が読めない日本社会。東日本大震災と原発事故で、その不透明感はさらに増している。今までの価値観も大きく変わろうとしている。昨年、35万部のベストセラー「働く君に贈る25の言葉」を上梓した佐々木常夫さんに「今、若者に伝えたいこと」を聞いた。(聞き手=オルタナS 清本周平)
■学生時代は一生懸命に遊べ、そして感動を
ー大学時代、佐々木さんはどのような学生でしたか?
東京大学経済学部に入学後、最初の2年間はとにかく遊んでいた。大学生は余裕を得るための期間だとおもっている。高校卒業後に就職すると働くことに熱中しがちだが、大学4年間のうちに遊ぶことで社会に出てから余裕ができるようになる。
だが、酒を飲んだりすることが目的となってはいけない。
飲みながら話すことで相手を知ることができる。部活に熱中することでコミュニケーション能力が鍛えられる。同様に映画や本も中身を選んで読むべきだ。こうした経験で心から感動できるのは若いうちだけだ。同じことでも30を超えてしまうと半減してしまう。
■欲が志になる時、君は幸せになれる
ー社会人になってから、たくさん稼ぎたい、高い地位に登りつめたいという気持ちはありましたか。
お金を稼ぎたい、出世したいというのは若いうちはみんなが思うこと。自分もそうだった。そうした欲を捨てる必要はない。しかし、欲だけでは仕事は上手くいかない。相手への配慮も一緒に持ち合わせることが大切なのだ。欲と相手への配慮が両立したとき欲は志になる。
僕が部下を見ていて、彼らの幸せそうな姿を見るのは、彼らが成長している時です。彼らの成長は自分に返ってくる。自分が幸せを感じられる。だから彼らのために何ができるか、というスタンスでいつも彼らと仕事をしているのです。