17日から 3日間、青森市の新町商店街で「福島の一店逸品&物産展」が開かれている。東日本大震災の影響などで客足が減少する商店街を応援する企画だ。いわき、郡山、二本松の商店街が日本酒や菓子など自慢の品を青森で販売し、売上を地元に持ち帰る。企画者の一人で同商店街逸品ワーキング部長の伊香佳子さんは、「自分たちと同じ専門店主だからこそできる」と話している。
■地域をこえてつながる商店街
青森市の新町商店街は、JR青森駅から東に約1km離れた場所にある約150店舗が集まったアーケード街。1998年に街並み整備を行ったが、中心地の客足減少の歯止めにはならなかった。2003年から店の魅力を高めるために一店逸品運動に取り組み、現在までに参加店舗数は50を越えた。「逸品お店回りツアー」や「逸品ビヤガーデン」など、魅力的な企画が次々に生まれている。
一店逸品運動は、個店や商店街が顧客に自信をもって勧める商品を毎年新しく選定、開発し、販売するものだ。静岡呉服町の名店街が発祥となる活性化事業で、16年の歴史がある。
福島で同運動に取り組む商店街仲間が、1年がかりで逸品フェアを企画、準備していたが震災で開催中止となった。そこで、青森市の震災復興支援イベント助成金を活用し、今回の企画が生まれた。「例え会ったことがなくても、お客様のために真摯にこの運動に取り組む人ならという暗黙の信頼関係で、企画進行もスムースだった」と伊香氏はいう。
■元気な商店街が生活者を元気に
伊香氏は「売り上げで貢献することが、一番早く地元にお金を回す復興支援ではないか」と、地域の商店街が存続し、被災地で経済が循環する重要さを説く。「震災時、青森では、商店街だからこその細やかで多様な流通パイプで、物資や安心を生活者に提供できた。商店を元気にするのはお客様。お客様を元気にするのは商店。苦難を乗り越え頑張っていくために、地域の商店街が元気になることが不可欠です」という。(オルタナ編集部=有岡三恵)