東日本大震災後、1万2000人を超える現地ボランティアが活動した「RQ市民災害救援センター(RQ)」は6月30日、国立オリンピック記念青少年総合センターでシンポジウムを開催。RQや地元リーダーの活動報告の後、7月からは「次世代『自然学校』の共創を核にした復興支援構想」に取り組むことを表明した。新しい地域創造モデルに期待が高まる。
■アメーバーのような RQ
RQは、エコツーリズムの第一線で活躍する専門家が集まる「NPO法人日本エコツーリズムセンター」をベースに3月13日に発足。登米市、気仙沼市唐桑、南三陸町歌津、石巻市河北の宮城県内4カ所と東京を拠点に活動してきた。
当初は、物資提供が主だった。モンベルの「アウトドア義援隊」と連動し、総計350トンの物資を被災地へ届けた。その後、「物から人の心を届けることに意識が変わっていった」と広瀬敏通氏(RQ総本部長)はいう。そして、岡田武史氏による「岡ちゃんサッカー教室」や、足湯、ヨガ教室などの交流支援が生まれた。
RQボランティアのリピーター率の高さを、参加者にとっての「手応え」と、広瀬氏は分析する。自分に何ができるかを考え、自発的に行動する「ピラミッド型ではなく、アメーバーのように発展進化する」ネットワークの魅力があるのだろう。
■自然学校で地域再生を
野外活動や自然体験、環境教育を行う自然学校は、全国に3700カ所ある。近年は、過疎やエネルギー問題と向き合う地域再生の拠点となる傾向があるという。
RQが掲げる「自然学校」構想は、地元の人を中心に、産官学や NPO・NGOが連携するプラットフォームと位置づけている。漁業復興、産業や雇用の充足、集落の集団移転など、既存の法律や制度では対応できない課題に対し、アメーバー型ネットワークだからこそ可能な解決策があるに違いない。ボランティアも継続募集中とのことだ。(オルタナ編集部=有岡三惠)