環境省は11日、原発の新増設を柱にした2020年までの温暖化対策案を見直す議論を始めた。外部有識者などを交えて政策を検討する環境大臣諮問機関の中央環境審議会の地球環境部会で検討する。
これまでの政策では、2020年までに1990年比で温室効果ガスを25%削減するという鳩山由紀夫前首相が提唱した目標に基づいて、温暖化政策がまとめられていた。6月に環境大臣に就任した江田五月氏は「当面は目標を維持する」と表明しているが、温室効果ガスの排出が少ない原発の増設や稼働増が難しくなる中で見直しは必至の情勢だ。
現在国会で継続審議中の地球温暖化対策基本法案は、25%減を目標に掲げた上で「基本計画」の策定を行うとしている。地球環境部会の検討は法案成立の場合に基本計画に反映される見通し。
菅直人首相は、原発に頼らない新たなエネルギー政策の策定を表明しており、それを踏まえた上で12年秋ごろまでに温暖化対策の具体的な提言をとりまとめる方針だ。
温暖化対策の25%減については、具体的な計画のないまま目標だけが決まった。政府・経産省は、2030年に最大導入ケースとして全発電量の49%(現在約3割弱)まで原子力発電を増やす(長期エネルギー需給見通し、09年改訂)、20年までに原発を9基新増設し、設備利用率も08年度の約60%から約85%に引き上げるとする「エネルギー基本計画」(10年閣議決定)など、原子力発電を温暖化対策の柱に据えていた。