ドイツの電力各社に課されている「核燃料税」が違法であるとして、大手電力会社のイーオン、RWEに続きENBWが16日に提訴に踏み切ったことから、同税廃止をめぐる議論が活発化している。
核燃料税は、昨年決定していた原発の稼動延長の見返りとして導入されたもので、燃料棒の交換時に課税される。今年に入ってイーオンとRWEが共同運営するグンドレミンゲン原発、ENBWのフィリップスブルク原発で新しい燃料棒が装荷されたことから、3社に課税義務が生じ、これと同時に提訴が行われた。
同税導入が昨年までのエネルギー政策に対応したものであるため、脱原発で方向転換した現在は合法性に乏しいというのが各社の主張だ。
背景には、原発停止で各社の財政が急激に悪化していることがある。一部原発の停止により納税額そのものは減るが、それでも電力会社が負担する核燃料税はイーオンで5億9000万ユーロ(665億円)、RWEで3億4800万ユーロ(392億円)と算定されている。
レスラー経済相は、核燃料税の合法性は原発の稼動期間とは直接関連しない、という見解を示している。(ドイツ・デュッセルドルフ=田中聖香)